私は1月20日から31日までの12日間、輪島高校に設置された避難所にて活動していました。
輪島高校の避難所は1月5日に開設され、ジャパンハートは同月9日から支援を開始しています。
能登の冬に起きた地震。輪島高校に限らずほかの避難所でも感染症対策に頭を悩ませていたのではないかと思います。とりわけ、新型コロナウイルス感染症は5類になったからといってその感染力が落ちたわけではなく、輪島高校の避難所でも実際に感染者が多数発生していました。新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は飛沫・エアロゾルを吸入すること1)とされており、マスクの着用や換気がその具体的な対策になります。
隔離対応としてテントを活用
たくさんの人がいる避難所内でその2つの対策を講じるのは困難を極めます。ソーシャルディスタンスが十分取ることができない環境であるからといって、マスクを24時間つけ続けるのは苦痛を伴う方も多いです。
換気を行うだけでも、繰り返しやってくる室温の低下が身体的にも精神的にもストレスが大きく感染対策上のメリットよりもデメリットと感じることの方が自然です。そもそも誰が窓の開け閉めを担うか、そんな問題もありました。
また、私が活動していた時期は避難者の方はずっと避難所で生活している方だけではありませんでした。避難所から仕事に行かれる方、週末だけ金沢市の親戚の家で過ごしている方、避難所にお見舞いに来られる方もいました。
そのような状況の中、感染対策のために私たちが行った目標設定は、感染者が一気に発生するクラスター化させないこと、感染しても医療につなげて通常通りの対症療法を受けられるようにすることでした。
輪島高校の避難所は体育館と校舎内の教室の2カ所を使用していました。感染症対策には大勢が生活する体育館より各教室に小集団に分けて生活していただく方が、良いと実感しました。教室には外側と廊下側の向かいあう2方向の窓があることで、まだ窓開けによる換気がしやすい状況にありました。
水循環型手洗いスタンド
避難所というと一般的に体育館のイメージがありますが、教室を活用することが感染対策上有効だと感じました。しかし、同時に学校は未来ある生徒たちの大切な学びの場であり、いち早く学校としての機能を取り戻してもらいたい、そんな葛藤もありました。
現実的な感染コントロールの目標を立てながら、可能な限り学校の再開を見越した支援活動を実施してまいります。
どんな支援現場であっても看護師には総合力が求められると考えています。
その場に応じた現実的な看護や対応策を考えること、そのためには信頼し、理解してもらうための調整が必要です。感染対策1つとっても支援における看護師の総合力の大切さを考えさせられることがたくさんありました。
能登半島が1日でも早く当たり前の日常に戻っていくことを心から願いつつ、自分にできることを続けていきたいと思います。
※参考文献
1)新型コロナウイルス感染症 診療の手引き第10.0版
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ジャパンハートの国際緊急救援(iER)
ジャパンハートの国際緊急救援iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 豪雨で被害甚大な福岡県久留米市へ医療チームを派遣し、人的・物的支援実施
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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