活動レポート

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【令和6年能登半島地震】「日常生活を取り戻すために」

up 2024.02.06

能登町立松波中学校避難所にて9日間、石川県立輪島高等学校避難所にて5日間、医療班として災害支援活動に入らせていただきました看護師の三浦です。

はじめに、被災されたすべての皆様へ心からのお見舞いを申し上げるとともに、大切な方を亡くされた方々へ謹んでお悔やみを申し上げます。

被害の大きさを知る

能登に近づくにつれ、多くの家屋、そして古い歴史のあるお店や建物が倒壊し、道中土砂崩れや地割れ、そんな光景を次々に目の当たりにし、胸が苦しくなったのを今でも思い出します。

また多くの方々が避難する避難所の学校も例外ではなく、壁や床に大きく亀裂が入り、床は傾き、一部地面や窓ガラスが割れ、大きな余震が来れば、いつ倒壊してもおかしくない状態でした。

さらには雪の降る真冬の北陸。冷え込む夜の寒さは厳しく、北海道出身の私でも、持参した寝袋と保温シートだけでは寒くて目が覚めることもしばしばありました。

そんな中まず心配したのが、体育館に避難する方々が低体温になるリスクです。薄着の方や、毛布が足りない方がいないかを声をかけながら回り、必要な方へ物資の衣類や毛布をお渡しさせていただき、段ボールで周りを囲う様に仕切りを設置しました。

感染対策と医療的介入

発熱者が次々に増え、コロナウイルスの感染者が出た時、狭い空間での生活なので簡単にクラスターが起きるだろうと予測されました。クラスター発生を阻止すべく、チームで夜中まで話し合い、感染経路の遮断に努めたことで、学校再開日には、発熱者や感染者ゼロの状態に持っていくことができ、「安心して子どもたちを通わせられます、ありがとうございます」と校長先生よりお言葉を頂戴し、安堵したのを今でも覚えています。

また、すべての方々へダンボールベットを導入した後、ベッドに番号を記載し、全員の簡単なカルテ名簿を作成。それと照らし合わせながら、一家族一家族お声をかけさせていただき、医療が必要な方々を見逃すことのないよう細心の注意を払いました。

お薬が数週間飲めていなかった方
混乱され服薬方法がわからなくなった方
不眠や食生活が変わり血圧が上昇した方
地震で傷を負われた方や、自宅に戻り怪我をされた方
恐怖や不安の中、涙されていた方
発熱後、急変する可能性のある方の病院搬送
など、身体的・精神的な面への支援として、専門チームへの連絡調整も行いながら携わらせていただきました。

余震時には、恐怖に怯える避難者さんのもとへ駆け寄り、地震がおさまるまで側に寄り添い、
少しでも安心感を与えられるよう心がけました。

忘れられない笑顔

校内にシャワーが設置されたあと、シャワーをまだ浴びられていない方がいないか聞き歩きました。すると「体育館から遠いので厳しい」「私は浴びたけれど母親の介助ができていない」「妻を手伝って欲しい」そんなお声をいただき、すぐに看護師チームに共有。

震災以来約4週間ぶりにシャワーに入られる方を介助し、物資の新しい下着と暖かいダウンに着替えられた避難者様の喜びの表情は今でも忘れられません。その間ずっと耐えてきた気持ちを思うと、日常生活を取り戻せるよう少しでも力になりたいという気持ちが強くなりました。

地元の方々の懸命な努力

能登でも輪島でも、自ら被災しながらも休む暇も寝る暇もなく、毎日避難所に通い、また学校に泊まり込み、懸命に対応される校長先生や、役場の方々がいらっしゃいました。私たちは地元の方々のお力があったからこそ大切な情報を得られ、活動を継続することができました。
そんな姿を見て、医療や看護に関することだけではなく、避難所全体のニーズは何か、今自分にできることは何だろう、と考えはじめました。
保健師さんからいただいた紙面の情報を頼りに、避難者様への二次避難所についての情報提供や説明、またその場所にいらっしゃる方々の人数割り出しや書類作りなど、他県から来られた行政の方々とともにヒアリングにあたることもありました。

支援を終えた今思うこと

断水の中共に生活し、避難者さんと会話していく中で、水があること、ご飯が食べられること、暖をとることができること、命があること、人との出逢い、普段当たり前に感じていることは、当たり前ではなく本当に有難いことだと体感しました。
また、支援に携わる地元の方々、自衛隊、行政、医療関係者、ボランティアの皆様など、助け合いの精神と、高い志をもっておられる方々とともに協働できたことは大変有難く、また、寝食をともにし、夜中まで活動・相談しあったチームの皆様との大切な時間は、今後の糧になるとも思っております。

この活動を通して、避難者様や、共に活動した方々から、ありがとう、というお言葉をたくさん頂戴し、またお伝えもしてきました。ですが、こうして私たちが活動できているのは、ジャパンハートを支え、応援・支援してくださる皆様のおかげだと思っております。いただいた感謝のお言葉を、そのまま皆様にお伝えしたく、この活動レポートを書かせていただきました。
たくさんのご支援、サポート本当にありがとうございます。心より厚く御礼申し上げます。
まだまだ活動は続いており、長い道のりが想定されています。

一日も早い復興と、被災された皆様が安心して暮らせる日々を取り戻せるよう心よりお祈り申し上げます。

令和6年能登半島地震 緊急支援活動のご寄付について

頻繁に余震も起き続けています。皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの国際緊急救援(iER)

ジャパンハートの国際緊急救援iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 豪雨で被害甚大な福岡県久留米市へ医療チームを派遣し、人的・物的支援実施

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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