活動レポート

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【令和6年能登半島地震】「能登の人たちのために、今の私にできる精一杯のことをしたい」

up 2024.02.06

能登町にある松波中学校にて10日間活動をした看護師の久島です。
私が能登半島に入ったのは1月22日、ちょうど震災から3週間が経った頃でした。

富山県から能登半島へ行くまでの道のりは、震災当初より改善したようですが、余震によって道路の亀裂が広がっていたり、新たに土砂崩れで道が塞がっており一方通行になっていたりと、まだまだ通りにくい状況でした。
避難所へ向かう途中に瓦屋根の家が倒壊していたり傾いていたり、神社の鳥居が跡形もなく倒れていたり、そこには衝撃的な景色が広がっていました。

松波中学校での活動が始まって最初に直面したのは、今ここでのニーズが何なのか、私がやるべきことは何か、ということでした。
震災から3週間経ち、もうそこでは避難者の方々の生活はある程度安定してきていて、物資や炊き出しも定期的に来ている状況でした。
松波中学校では新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症も落ち着き、医療ニーズも低くなっている時期でした。
一方で、持病がある方の薬が切れたり不定愁訴が増えたりと、慢性期ならではの課題もありました。
そういったニーズを一つ一つ拾い上げていくことで、少しずつ私の取り組むべきことが見えてきました。

薬がもう少しで切れてしまうけれど、車が津波に流されてしまいかかりつけの病院へ受診することができない方。
家が全倒壊して瓦礫に足が挟まり、寝たきりで家族の介助が必要な方。
足が悪いけれど家に残されたペットが心配で毎日家の様子を見に行っている方。
被災者の方々はそれぞれ失くしたものがあり辛いはずなのに、誰もがこう言います。

「みんな同じ。みんな頑張っとるさかい、私もがんばらんとね。」

その言葉に私は強く奮い立たせられました。
ここへ来る前は初めての災害支援で緊張や不安もありましたが、現地の方々と関わる中で、「私にできるだろうか」から「能登の人たちのために、今の私にできる精一杯のことをしたい」という気持ちに変わりました。

避難所ではジャパンハートの他にも様々な団体が支援にあたっており、こうして多くの方々と一緒に被災地のことを考えていく機会はとても貴重だと感じました。
同時に、それぞれの支援が点になるのではなく、線になってどんどんつなげていくためにも、私から積極的にコミュニケーションを取り、連携をしていくことの大切さを感じました。

他団体のリハビリスタッフの方から、「お口の体操など、何か取り組みをしたいけどどのようにしたら良いでしょうか」と相談を受けたことがありました。
松波中学校に避難している方々のほとんどはご高齢の方で、避難生活の長期化によりADL低下(※1)やセルフケア不足、感染症のリスクが懸念されていました。
地域の老人ホームや福祉施設はまだ再開しておらず、デイサービスに通っていた避難者の方も今は行けていない状況だったため、一時的にでもそれに代わる取り組みを避難所でできたらいいですね、ということをお話ししたところ、リハビリスタッフの方にも賛同いただき翌日レクリエーションを実施することとなりました。
日中避難所で過ごされていた方のほとんどが参加してくださり、座ってできるお口の体操や全身運動はとても好評でした。

医療にしないために福祉を

皆で集まって体を動かす機会があることで体調不良にも気付きやすくなり、筋力低下予防や気分転換にもなるため、今後もこうした福祉的な関わりを作っていけたらと思います。
また、いろんな職種、いろんな経験をしてきた人たちが介入するからこそ、多角的な視点からのアイディアが浮かび、新たな気付きも生まれるのだなぁと感じました。

急性期、亜急性期、そして慢性期へ。
それぞれのフェーズで異なる課題やニーズが生じます。
看護師ではありますが、看護業務だけでなく避難者の生活再建に向けての支援やヒアリング、自身も被災された中寝る間もなく働き詰めている支援者の方々の心に寄り添うこと、多くの団体が介入する中でそれぞれ連携を取り、皆で被災地支援を行うことなど、様々な面からの支援が必要だと感じました。
それとともに、自分が支援に入った期間だけでなくその後も現地の方の支えになれるよう、医療者がいなくなったあとで感染が起きた場合にどう対処するのか引き継ぎ、避難者同士で声をかけ合っていく体勢を作ることも大切だと考えています。
10日間という期間でやりきれなかったこと、もっとこうしたらよかったのではないかと考えることもたくさんあります。
災害支援と言いつつも、私自身毎日たくさんのことを経験し、学ばせていただきました。
色んな方との出会い、そして私たちを支援してくださる方々に感謝しつつ、今回学んだことを今後の人生に活かしていきたいです。

ありがとうございました。

グローバル看護師育成プログラム看護師(現メディカルチーム看護師)久島萌美

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ジャパンハートの国際緊急救援iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 豪雨で被害甚大な福岡県久留米市へ医療チームを派遣し、人的・物的支援実施

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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