2024年1月10日より石川県立輪島高校で避難所・感染隔離部屋における医療支援活動に参加させていただきました。看護師の吉田です。
被災地での医療支援活動を通して感じたこと
避難者数は当初より減少傾向にはありますが、いまだに200名近くの避難者さんが輪島高校で生活を送っています。一歩外に出ると、風情ある能登瓦で作られた家屋があちこちで倒壊した状態のままです。
「隣の方、息子さんのところに行くって、もう輪島には戻ってこないって。」
そんな会話が聞こえてきました。
被災から3週間が経過しようとしています。避難者さんの中には親戚や知り合いを通じて輪島を去る方もいます。生まれ育った故郷を去る選択をした避難者さん、その姿を見送る避難者さん。それぞれどのような思いだったのだろうか。活動中は今まで感じたことのない複雑な感情が入り混じりました。
輪島高校の教室の一角ではセンター試験を受験する生徒が勉強している様子もありました。被災で学習の場・日常が奪われ、近くの輪島中学校では集団避難が始まりました。校長先生は被災直後より校内で寝泊まりをし、避難者の支援、そして何よりも生徒たちがまた学校に戻ってこられるよう、学びの場を無くさないよう必死に支援に当たっています。校長先生も被災者の一人です。自分のことよりも相手を思う気持ち、そのような姿に私も胸が熱くなりました。校長先生が被災後より毎日綴っているブログの中に「どんな時も学ぶことをやめてはいけない」という言葉がありました。「このような状況でも学ぶことが沢山ある」と校長先生は生徒たちにメッセージを送り続けています。
「医療の届かないところに医療を届ける」
ジャパンハートの理念は自分がどこにいても通ずることがあります。
今回実際に医療を提供することはありませんでしたが、被災により、病院に受診できない方、薬が切れてしまった方、自宅にあるインスリンを取りに行きたくても行けず、避難所で高血糖になってしまった方。医療ニーズを知り、医師や薬剤師と協力し避難所で治療が継続できるよう連携を図りました。
被災により治療を諦めたり、禁酒していた方がアルコールを飲み始めたり自暴自棄に陥る方も少なくありません。
朝の健康チェックで「薬は足りていますか?」と一言添える。
ここは病院ではないので深く立ち入ることはできません。
避難者さんの表情や振る舞いからできる限りの情報を読み取り、必要な支援を考えます。
ニュースでは報道されない避難者さんの医療面における課題や「支援者支援」について考え何が自分にできるのか、実際に参加し現場を見ることでより明確になりました。
吉田夕佳 グローバル看護師コース(現メディカルチーム)60期生
神奈川県出身。4年間の看護師経験を経て参加。「看護師5年目となりさらにスキルアップしたいと感じ、かねてから夢であった国際医療分野に携わりたく参加を決めました」
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ジャパンハートの国際緊急救援(iER)
ジャパンハートの国際緊急救援iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 豪雨で被害甚大な福岡県久留米市へ医療チームを派遣し、人的・物的支援実施
今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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