新型コロナウイルスがもたらす被災地への影響
令和2年7月豪雨に伴う熊本県八代市の避難所支援活動をスタートして半月が経過しました。
発災後、避難者の皆様が訴えていた不眠・不安・便秘・腹痛などの消化器症状・血圧上昇などは、時間の経過と共に少しずつではありますが、減少してきており、避難所から仕事や学校に向かう方々の姿も多く見られるようになりました。
発災後も長らく続いていた雨はようやく落ち着き、道路の開通も進み、晴れた日には自宅の片付けに向かう方もいらっしゃいます。
しかし、片付けから戻られた方々から、様々なお話を伺いました。
「写真やテレビで見ていたので分かってはいたけど、実際自分の家や、モノが泥に埋もれているのはショックでした。片付けどころではなく、早々に帰ってきました」
「冷蔵庫を片付けようと思ったのですが、半月も経っているので凄いことになっていて…。気持ちが悪くなって、帰ってきました」
「ボランティアさんの派遣を申し込んで待ってはいるのですが、いまだ来てもらえる目途が立たないそうです。これ以上待っていても仕方がないと思い、思いきって行ってみたけど…。全部ぐちゃぐちゃになっていて、自分たちではどうにもできない。これからどうしたらいいのか…」
半月経って、やっと自宅に行けたけど、あまりの状況にいたたまれなくなり帰ってくる避難者の方。そこに追い打ちをかけているのが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でボランティアさんが入れず、被災者が片付けの全てを行わなければならないことです。
私は東日本大震災の時に福島へ家屋の片付けボランティアに行きましたが、1軒を片付けるのに10名以上のボランティアで1日がかりでした。とても被災者の方だけでできることではないことは、経験上想像がつきます。
新型コロナウイルスの感染拡大は、医療が脆弱な地方都市にとっては脅威であり、ボランティアの受け入れをかなり制限しています。また、ボランティアをしたいという方々にとっても「自分がコロナを持ち込んではいけない」という想いから、なかなか被災地に入ることができない状況です。
誰が悪いわけでもありません。
しかし、命は助かってもあらゆるものを失い途方に暮れている被災者の方々をさらに追い込む新型コロナウイルスは、復興が進まないという課題を目の当たりにして何とも言えない気持ちになりました。
私たち看護師は避難者の安全と健康を守るために日々活動をしていますが、
こういった新たに生まれてくる問題・課題も敏感にキャッチして被災者の方たちが置かれている状況や、抱えている不安を理解しながら活動を続けていきます。
ジャパンハート 国際緊急救援
International Emergency Relief(iER)
看護師 宮田