「長崎との繋がり、カンボジアに届く段ボール」
現在、アトランチカ号の緊急医療支援のため長崎に来ている看護師の角田(つのだ)です。普段はカンボジアにある「ジャパンハートこども医療センター(以下、JHCMC)」の手術室で働いています。
JHCMCは、現在、新型コロナウィルスの影響により、日本からのボランティアや医療チームの受け入れが困難なため、大きな手術活動が一時的にストップしています。そのため、私は一時帰国の中この支援にあたっています。
現場で任務にあたるチームの中に、長崎医療センターの姿があり、はっ、としました。
カンボジアでは今までに段ボールが数箱、長崎から届いています。中身は包帯です。この包帯は長崎医療センター形成外科、藤岡正樹先生の呼びかけにより病院内で必要がなくなった包帯を収集し、それらを継続してカンボジアに送ってくださっているのです。
昨年(2019年)10月、JHCMCにてラオスの女の子の手術が行われました。この患者さんは顔面形成の手術を必要とし、4年前に長崎医療センターにて藤岡先生による1回目の手術が行われ、2次的な手術をJHCMCにて藤岡先生を含む長崎医療センターチームをお招きして実施しました。
JHCMCで「他国から患者を呼び、手術を行う」というのは初めての試みでした。長崎医療センターチーム、ラオスチーム、カンボジアチームと東京事務局が調整に調整を重ね実施された形成外科ミッション(手術活動)でした。加えて、ほかの患者さんも可能な限り診ていただき、3日間で30症例もの手術を施していただきました。麻酔科の先生にも大変お世話になり、思い出深いミッションとなりました。疲れた表情も見せず、毎日元気いっぱいの先生方の姿を昨日の事のように覚えています。
カンボジアでは、日本だと使い捨てる包帯も、洗って何度も使います。その光景を見た藤岡先生が、包帯を集めて長崎から送ってくださるようになりました。日本製の上等な包帯で、カンボジアで大活躍しています。今回、同じ現場で支援にあたることとなった長崎医療センターチームをお見かけし、お礼を伝えずにはいられませんでした。
左:ジャパンハートこども医療センターに届けていただいた包帯の数々 右:長崎で長崎医療センターの先生方と再開
長崎県には長年にわたり、継続して多くのジャパンハートの看護師を離島研修(国際看護師研修)の場として受け入れていただいています。4年前、私もその1人でした。空港から市内への移動の景色や坂のある風景、路面電車の街並みが懐かしいです。このような形ですが、再度長崎に戻って来ることができ嬉しく思います。また、カンボジアでの活動を含めたこの“繋がり”を心から幸せに感じるのと同時に、長崎の皆さまに対して感謝の気持ちで胸がいっぱいです。一つひとつの出会いや感謝を大切に思うのと、今後の活動や人生のエネルギーとなる貴重な時間を過ごさせていただきました。
長崎では連休明けの5月7日に休業要請が緩和され、徐々に人々の暮らしが戻りつつあるのを、滞在の期間を通して感じます。まだまだ予断を許さない状況ですが、街行く人々や通学の学生さん達の表情を見ていると、マスクの内側から笑顔がキラキラと見えてくるように明るく、微笑ましく思います。私は本日(5月8日)帰路につきますが、船員の皆さま、長崎の皆さま、長崎を支える方々の健康と安全を心よりお祈りしています。
ジャパンハートカンボジア
手術室看護師 角田千里
▼角田看護師プロフィール
https://www.japanheart.org/about/staff/stf-cambodia/tsunoda.html