こんにちは!カンボジア栄養管理部の川合です。
カンボジアは先月までの雨期も落ち着き、少し肌寒い毎日が続いています。この涼しさがずっと続いてくれたら、と思いながら過ごしています。
さて、栄養管理部では、先日周産期部門が実施している乳幼児健診の機会を活用し、「最初の1000日の栄養指導」をカンボジア人スタッフ主体で実施しました。
このプロジェクトは、途上国の多くの栄養事業で実施されているThe First 1000 Days Projectを基にしたもので、お母さんの妊娠期から、子どもが2歳に至るまでの食事の重要性を伝えることを目的としています。
母親の妊娠期である約9カ月間に加え、生まれた子供が2歳になるまでの合計約1000日間は、栄養介入が最も必要とされる時期と言われており、特に食糧へのアクセスや栄養・健康に関する概念が先進国程整っていない場所では、医療従事者からの適切なケアが求められています。
指導内容は、WHOが推奨するIYCF(Infant and Young Child Feeding)に基づき、特に貧富の差が大きいカンボジアでその差異に相関が見られる事項を中心に、母乳育児の重要性や、基本的な栄養バランスなどを含む予定です。
1か月半前より、周産期部門のスタッフとミーティングを行い、どのような知識の提供が求められるのかを話し合ったうえで内容を検討していきました。今回の乳幼児健診には、1歳前後の子どもとその母親が多く訪れていたため、最初の1000日の栄養の大切さに加え、補完食の重要性と適切な食事の与え方についての説明も行いました。
媒体として作成したのはポスターです。今後、電気が安定していない場所でも啓発が行えることを目指すのと同時に、指導経験の少ない現地スタッフが取り組みやすいよう、イラストや写真を多く使用したデザインに仕上げました。
当日は、1時間半ほど検診の待ち時間を利用し、30名前後の母親に対してレクチャーを行いました。トップダウン型の指導ではなく、それぞれが話しやすい雰囲気を作るために、円になって座り、お母さんたちと目線を合わせて話すことで、誰もが発言しやすい雰囲気づくりを大切にしました。
第一子の子どもを持つ母親も多く、レクチャー終了後は質問も飛び交い、有意義な時間を提供することができました。ただ、栄養管理部スタッフにとっては、初めての指導経験ということもあり、今後改善できる点も多く見受けられました。
まずは、彼ら自身の知識の定着と実践への練習を兼ねて、11月より週一回でミーティングを実施しています。
また、カンボジアの母子健康カードにはWeight-for-ageの成長曲線が記載されているのですが、その基準値に満たない子どもたちに対しては個別の栄養指導も実施しました。
赤ちゃんを定期健診に連れていくこと、身体測定で成長を見守ることも、特に地方ではまだ一般的ではないのが現状ですが、様々な機会を活かしながら新たな方向性を見つけていきたいです。
そもそも栄養についてや、その重要性についても学ぶ機会のなかった人々に対してどう啓発し、行動変容に繋げていくことができるのか。
今後も、栄養管理部スタッフと共に試行錯誤を重ね、病院内での活動を増やしていきたいと考えています。
栄養管理部 川合
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医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部