活動レポート

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【カンボジア 小児がん病棟日誌】 音楽イベント開催!

up 2024.10.31

ある日、カンボジア人医師のラクスメイ先生から素敵な提案がありました。
「小児病棟の子どもたちを対象に、音楽イベントを開催したい!」
実はラクスメイ先生、自身で作詞作曲を手掛けてしまう多才な一面があり、果たしてどんなイベントになるのか、期待に胸を躍らせながら準備が始まりました。
今回の小児がん病棟日誌では、7月に行われた音楽イベントの様子をたっぷりお届けします!

音を楽しむ、音で楽しむ

当初は楽器を演奏できるスタッフが有志で集まり、子どもたちに向けて演奏会をしようと思っていたラクスメイ先生。しかし、演奏するだけではなく、「音楽」についてのレクチャーも含めた学びあるイベントにしたいと考え、レクチャーとパフォーマンスの2部構成で進めることとなりました。

その背景には、この世界に存在する様々な形の「音楽」の姿について紹介することで、それぞれが持つ「自分」を表現する方法を知ってほしいという想いがありました。音楽は誰もがアクセスすることができ、楽しくエネルギーに満ち溢れ、時には心を癒し、時には心を興奮させる、そんな力があるということをどう伝えるか、工夫しながらレクチャー内容を考えていきました。終業後には時間のあるスタッフで集まり、和気あいあいとセッション練習も積み重ねていきました。

【カンボジア 小児がん病棟日誌】 音楽イベント開催!

3I: Instruments, Imagination, I’m

イベント当日、お昼寝を終えてプレイルームに集まってきた子どもたち。
レクチャーでは、ラクスメイ先生が考える、音楽を作る上で必要な3つの要素「楽器・想像力・自分」をスライドや動画を交えて分かりやすく説明していくことになりました。

アイスブレイクのダンスを終え、まずは「Instruments=楽器」についての紹介からレクチャーがスタートしました。ウクレレ、ギター、チェロ。楽器の形態は似ていても、奏でることのできる音色はそれぞれ違います。音を聴いて、何の楽器から奏でられているかを当てるゲームでは、子どもたちだけでなく付き添いのご家族たちも大盛り上がりでした。

伝統楽器を紹介するパートでは、神白院長が三線を演奏するサプライズも!
ピアノに続いてみんなで発声練習もしたりと、全身で生の音を感じました。

【カンボジア 小児がん病棟日誌】 音楽イベント開催!

続いて、「Imagination=想像力」。ここではまず、病棟に飾られている絵からヒントを得て、それぞれが持つ豊かな発想を表現する方法の例をレクチャーしていきました。絵や音楽など、作者の思いが様々な形態として世にリリースされた作品は、人の感性によって受け取り方も様々です。それをどうやって体感してもらうかというと、、、?

有名な音楽家であるヴィヴァルディが作曲したヴァイオリン協奏曲『四季』を取り上げ、どの季節を想像して演奏しているか、目を閉じて音だけを聴いて考えてもらうことに!日本では音楽の教科書にも載っており、特に『春』は聞き馴染みのある方も多いかもしれませんが、ここは常夏のカンボジア。四季を経験したことがない子どもも多く、一人ひとりの想像力を掻き立てる、有意義な時間になりました。

最後に「I’m=自分」のパート。ここではドクターラクスメイではなく、シンガーソングライターラクスメイとして、自身のストーリーやスタイル、声の特徴などをもとにどのようにして曲を作ってきたかを話してくれました。

【カンボジア 小児がん病棟日誌】 音楽イベント開催!

このように盛りだくさんのレクチャーでしたが、実は時間が足りず、2週に分けて実施されました。子どもたちや付き添いのご家族からも大好評で、「毎日やってほしい!」と言われるほど。笑顔あり、学びありの楽しい時間になりました。

私もギターを弾いてみたい!

そしてついに、演奏会の時間がやってきました!夜ご飯前の子どもたちが続々と集まってきます。

ギター、ピアノ、そしてカホン。
楽器がスタンバイされた特設ステージに現れたのは、普段の姿とは違うスタッフたち。

音が鳴り始めると、子どもたちの目が演奏にくぎ付けになりました。1曲目は友情を歌ったクメール語の曲。卒業式や送別会などで歌われることが多いらしく、みんなも口ずさめる素敵なメロディーが印象的でした。続いては、皆さんご存じRachel PlattenのFight Song。治療を頑張る子どもたち、彼らを支えるご家族の皆さん、そして医療スタッフ全員に向けて、歌い演奏しました。

演奏が終わり、歓声と拍手に包まれている中、5歳の女の子がスッと立ち上がり、演奏していたスタッフのもとへ。折り紙で作った輪飾りを首にかけてくれて、歓声が大歓声に変わった愛おしい瞬間でした。

【カンボジア 小児がん病棟日誌】 音楽イベント開催!

一人ひとりが好きなように音楽を楽しみ、笑顔になっているみんなを見て、イベントを企画した私たちの方が音楽の力を実感しました。
次の日、朝の回診中に子どもたちから「ギターを弾いてみたい!」と要望が。早速、ギターやウクレレをもってプレイルームに向かいます。
治療を頑張る子どもたちや付き添いの皆さんにとって、音色を奏でる時間が癒しの時間となっていたら嬉しいです。

長期学生インターン 畔上颯馬

音楽イベントの様子はこちらからも!
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▼プロジェクトの詳細はこちらから
カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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