スオスダーイ！カンボジアは4月から延期となっていた正月休暇が8月に振り替えられ、少し穏やかな毎日が続いていました。
雨期の真っただ中ということもあり、夕方にざーっと雨が降った後の涼しくて静かな夜はとても過ごしやすく、一日の疲れも癒してくれます。
さて、8月よりカンボジアの栄養管理部とジャパンハートがミャンマーで運営している養育施設Dream Trainが連携し、施設で生活する子どもたちへのオンライン食育授業を実施しています。
食育活動は、日本では幼少期から様々な教科と連携して盛んにおこなわれているものの、海外ではそれほど多くありません。
「食育」は食事や栄養に関する知識の提供だけでなく、例えば給食当番を通じて仲間との関係性を構築したり、食に関わる人々の仕事について知り「思いやり」や「感謝」の気持ちを学んだり、行事食や多文化の料理を知る中で、自分たちのアイデンティティを再確認する機会にもなります。
そんな食育を、コロナウイルス感染症の影響でミャンマーに渡航できない今、オンライン授業という新しい形で子どもたちに届ける取り組みを始めています。
今回、参加したのはDream Trainの低学年の子どもたち約50名。
①3大栄養素と食事の大切さについて理解する
②生活リズムとお菓子の食べ方について考える
の2点を目的に、約30分間の授業を行いました。
オンラインでの食育は初めてということもあり、内容は基本的な３つの食品群とその役割、自分の食生活を振り返り、お菓子やファストフードへの関わり方を見直せるものにしました。
事前に日本語⇔ミャンマー語の通訳担当の子どもと練習を重ね、〇×クイズを実施して動いてもらったり、食べ物の栄養分類クイズを行ったりと画面越しでも子どもたちが主体的に学べる工夫を取り入れました。
部屋の真ん中にテープを張り、〇×に合わせて動いてもらいます。朝ごはんの効果は？夜食はどうして良くないの？など、自分たちの生活を振り返りながら考えてもらいました。
オンライン×通訳×低学年の子どもが対象、という初めてのことばかりの取り組みではありましたが、当日はDream Trainのスタッフにも協力していただき、最後まで楽しんで授業を受けてもらうことができました。
Dream Trainのスタッフから事前にミャンマーで使われる食材の情報をいただき、馴染みのある食材を見せながら栄養素について話しました。カンボジアとミャンマーは似ている食材が多く、カンボジア人スタッフも興味津々でした。
ミャンマーは新型コロナウイルス感染症の影響で渡航ができないことに加え、子どもたちの学校もしばらく休校となっています。
今後は、高学年の子どもたちを対象にするほか、栄養面だけではなく社会・道徳面の学びも取り入れたオンライン食育授業を進めていきたいと考えています。
本授業を通じて食の大切さを学ぶことはもちろん、子どもたちが大きくなった時に、自分たちの食生活を的確に判断し、周りの大切な人たちの健康も守っていく一つのきっかけになってくれればと願っています。
＊＊
現在カンボジア栄養管理部は、日々ジャパンハートこども医療センターで入院する子どもたちに衛生的でおいしい食事を作り、提供することが活動の芯となっています。
そんな私たちの長期目標の一つは、このセンターを起点として地域住民の栄養水準の向上に寄与すること。
今回、ミャンマーとの縁をきっかけに始めることのできた食育事業を軸に、カンボジアの病院での様々な取り組みと連携し、私たちが日々関わっているカンボジアの患者さんやご家族、その他地域住民に対しても活動を広げていければと思っています。
食生活や衛生環境へのアプローチによって、予防できることはたくさんあるはず。栄養や料理に日々触れる私たち栄養管理部なりの関わり方で、人々の健康に寄与していきたいです。
栄養管理部 川合
▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部
