ジャパンハートで2011年度より始まった、医療者を目指す学生を支援する奨学金事業「夢の架け橋プロジェクト」。今年度は事業開始から10年目を迎えます。新型コロナウイルスの影響でカンボジアでも全国の学校閉鎖が続き、学生の授業や受験の予定も不透明の中ではありますが、数年後、十数年後のカンボジアの医療を担う人材を支援すべく、例年通りプロジェクトを開始しました。
毎年初めに行うのは、本制度に興味を持ち受験を希望する学生への初回オリエンテーションです。この日、選考プロセスや選考基準の説明を行うために、提携先の高校であるカンボジア日本友好学園(プレイベン州)を訪れました。
普段は多くの学生で賑わう校内も静まりかえっていましたが、同校あわせて4つの高校から11人の学生が集まり、開催することが出来ました。
日本から、そして先輩から後輩へも受け継がれる夢の懸け橋
このオリエンテーションで大きな役割を果たしてくれたのは、ほんの数年前に候補生としてこの会に参加し、今では奨学金生として日本からの支援のもと大学で勉強に励むことが出来ている看護学部4年生のラニ―さんと医学部3年生のニムさん。母校を訪問し、後輩たちに対して自らの経験や想いを自分たちの言葉で伝えました。
地元を離れた首都での大学生活の様子、寮での共同生活の様子。試験科目の話から、競争の厳しさについても丁寧に教えていました。
これから候補生たちに待ち構えているのは、ジャパンハートによる家庭訪問、筆記試験、面接試験、さらに大学入学試験。そして選ばれた数人がようやく奨学金生として大学で学ぶことができます。さらにそこから、実際の医療の現場に立つまでに看護師は4年間、医師は8年間学びます。長く、厳しい道のりにも見えますが、その真っただ中にいる彼女たちが後輩たちに対して語っていたのは、まさに将来のカンボジア医療を担っていくことが期待できるような、力強い言葉でした。
「カンボジアにおける看護師の知識や技術は海外と比べると乏しく、その地位や信頼はまだまだ低いというのを感じます。でもそれを私たちが頑張ることによって、少しずつ、高めていくことが出来ると思うんです。」
【看護学生ラニ―さん】
「私は皆さんのように医師になることを希望し、家族も応援してくれ、そして奨学金生になることが出来てとても幸運です。一方、奨学金生になること、受験に合格することは確かに大きな目標だけれど、そこがゴールではありません。私たちはその先の目標に向かって頑張っていくべきです。」
【医学生ニムさん】
間違えなく、数年前はまだあどけなさが残るこの学生たちの中にいた2人。
夢に向かって歩みだした先輩のいきいきとした姿から、後輩たちは何を感じたでしょうか。
来月には候補生の家庭訪問を開始し、本格的な選考活動がスタートします。
ジャパンハートカンボジア 本田ふみの