『国際協力の色々なカタチ~インタビュー企画Vol.1 産婦人科医:渡邉先生』
JapanHeartでは、毎年たくさんの短期ボランティアが医療活動に参加しています。
長期で活動するわたしたちだけでなく、短期ボランティアで活動するたくさんの人たちの力で現地の活動は成り立っています。
カンボジアでは、何度もボランティアに来てくださり、専門を活かした手術や診療をしてくださる先生たちがいます。そんな先生たちがいるからこそ提供できる医療があり、たくさんの患者さんが診察や治療を待っています。
そんななくてはならない短期ボランティア「リピーター」の素敵な先生たちに、是非インタビューしたい!こんな風に活動してくださっている先生たちのことを他の人にも知ってもらいたい!と始めることにしたこの企画。(わたくし、勝手に作りました。笑)
第1回目は、産婦人科医の渡邉憲和先生です。
みんな大好き渡邉先生♪仏のような広い心でカンボジア人医師の手術をじっと見守り、優しく指導してくださいます。カンボジア人スタッフも、わたしも、渡邉先生がいらっしゃるのをいつも楽しみにしています。現在、駐在する産婦人科医がいないため、診断や治療に困った時は時々先生に連絡をしてオンラインで相談に乗っていただくこともあります。
●経歴
三重県出身
2008年 新潟大学医学部医学科卒業
2008年~ 三重中央医療センター研修医
2010年~ 山形大学医学部附属病院および関連病院で産婦人科医師として勤務
2018年現在 山形大学医学部産科婦人科学講座 医員
●JapanHeart短期ボランティア参加回数
4回
●JapanHeartの短期ボランティアに参加したきっかけ・動機
医師になってからやりたいと思っていたことの一つに、発展途上国における医療活動がありました。病気になるのも、様々な理由でそれを治せないのも、生まれた地域や経済状況、文化、体質、遺伝子変異など生まれもったものの影響は大きいと思いますが、これらの差を埋める仕事をしたいと考えていました。海外で医療支援を行っている団体は多数ありますが、ライセンスや経験、まとまった活動期間、語学力など、求められるものは比較的大きく躊躇していました。医師になって5-6年目頃にウェブで、Japan Heartであれば夏季休暇を利用して参加できることを知り、幸い家族や職場も同意してくれたので、参加を決めました。
●参加して感じたこと
過去4回の参加は全てカンボジアでの短期ボランティアでした。1回目はAAMC開設前、あとの3回はAAMCでの活動です。外来診療と、手術(子宮筋腫、卵巣腫瘍、帝王切開、異所性妊娠、子宮脱、一般外科手術など)、妊婦健診に関わりました。外来診療でも手術でも常にベストの対応ができるわけではありませんが、多くの患者が笑顔でお礼を言って下さるのが印象的でした。自分自身の知識・技術不足もあるので、かえって罪悪感を感じるくらいでした。
参加するようになってから知ったことですが、カンボジアは妊産婦の死亡率が日本の30倍くらい高く、これは60年程前の日本と同程度です。このような状況は産科領域には限りませんが、もし日本と同程度の医療が提供されれば生きていられた母子も多くいるのでしょう。実際、妊婦には妊娠高血圧症候群や前置胎盤、胎児異常などのハイリスク症例も少なくなく、無事に分娩を終えて欲しいと思いながら診させて頂きました。また、若いカンボジア人スタッフが行く度にレベルアップしていて驚きます。私はだいたい年に1回の参加ですが、彼らに負けないように自分自身も毎年成長していなければいけないとも感じます。
●参加を迷っている、日本の産婦人科医または医師へのメッセージ
学生や若い先生方と話をすると、私のように海外での医療活動に興味を持っている方が意外と多いように思います。興味があってもできない理由として、今の職場を離れられない、語学力に自信がないという声も聞きました。少なくとも短期ボランティアでは、数日の休暇で参加できるので今の仕事を辞める必要はありませんし、私のように英語やクメール語がうまく話せなくても通訳がいます。ボランティアなので、少しお金は必要です。Japan Heartが、「医療過疎地の医療ニーズ」と我々の「医療協力したい気持ち」を調整してマッチさせてくれます。カンボジアでは常駐の産婦人科医がいないため、常には分娩を受け入れられない状況にあります。といって私自身が長期で行けないので心苦しいのですが、参加できる産婦人科医が多ければできることも増えると思うので、迷っている方はまず一度参加してみて下さい。
第2回目も企画中。お楽しみに。
渡邉先生、ご協力ありがとうございました!
カンボジア駐在助産師 Minami Kikuchi