ジャパンハートの病院から片道4時間半という道のりを通ってくる患者さんのリマちゃんご自宅を訪問しました。
久しぶりに自宅に帰れると、道中ご機嫌なリマちゃん。
可愛く撮れたよ~と写真を見せると、乳歯の生え変わりが見えるのが嫌だから、撮りなおして!と言われました。
5歳の女の子。 お年頃ですね♡笑
道中は、砂煙の立つでこぼこ道に
途中は川を渡るために船に乗って進みます。
工事中で通行止めにあったり、牛の大群が通るのを待たなければいけなかったり、、といろいろな障害がありましたが、無事にリマちゃんのご自宅に到着しました。
私がご自宅を訪問して特に驚いた事を3つ紹介したいと思います。
1.壁にも、床にも隙間だらけの木造住宅
リマちゃんは両親とお姉ちゃん、そして弟の5人家族。
5人でこの木造高床式のカンボジアの伝統的な家で生活をしているそうです。
ご自宅に入らせて頂いて初めに驚いたのは壁にも床にも穴が開いていること!
薄い木板張りで、「え、こんなに人が入って床が抜けないのかなぁ」「雨が降ったら隙間から入ってくるなぁ」とか「蚊とかいろいろな虫が入ってきそう」と、色々不安に思ってしまいました。。
八畳一間ほどのスペースでは、もちろんベッドは人数分ありません。クッションもなく硬いベッドにお母さんとリマちゃんと弟が寝て、お父さんとお姉ちゃんは床にシーツを敷いて寝ているそうです。
2.料理は部屋の片隅で火を焚いて作る!
リマちゃんの村にはまだガスが通っていません。(そもそもカンボジアの都市部以外は水道もガスも通っていないため、ガスを使っている家もガスボンベを購入して利用しています。)
キッチンとして使っている部屋の隅にこのような下で火をおこして使う道具が置かれていました。
家、火事になっちゃわないのかな、、と心配になりました。
3.お風呂も洗濯も水がめの水で!
リマちゃんの家には水道も通っていません。
飲み水は200円程で一週間分購入をして大切に使っていますが、
飲み水以外の洗濯や食器洗い、体を洗うのも全部このような水がめに雨水を貯めて使っています。
お風呂のスペースもないため、女性も男性も布を巻いてその上から水をかぶって体を洗っているそうです。
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今回ご自宅に伺ったリマちゃんは、実は今、小児がんと闘っています。
抗がん剤の治療では免疫が落ちる期間があり、その間に感染症にかかると命にかかわる一大事です。
そのため、日本の病院では治療期間は長期間入院することが一般的ですが、カンボジアでは治療の狭間に「自宅に帰りたいです!」とお願いされることがよくあります。
不衛生な環境で体内に細菌入ると命にかかわるような危険があるのに、どうしてでしょうか。
それは、カンボジアの文化や経済状況が大きく関係をしています。
リマちゃんのような子どもが入院する場合、食事をあげたりやお風呂に入れたり、といった日本では看護師が担当するような生活のサポートを家族が付きっきりで行うことが一般的です。
そうすると一家の働き手が減ってしまい生活が苦しくなることが多いのです。
また、兄弟が多いカンボジアでは親が看病に行く間、自宅に残された他の兄弟のことがとても気がかり。。リマちゃんの家も生まれたばかりの4カ月の弟がいて、お母さんはいつも家に残してきた赤ちゃんを心配しています。リスクを負ってでも赤ちゃんの待つ家に帰りたいのです。
今回自宅にお伺いしたのは、抗がん剤の治療期間中に一時帰宅する家の衛生状況を確認することが、私の大きな目的でした。カンボジア国内で考えてみても経済的に困窮した環境で暮らすリマちゃんの自宅では、蚊や水、食事などからの感染ルートがとても多く、特に気を付けて予防する必要があります。
衛生観念や文化が違うカンボジアでは、
お手洗いの後、手を洗わずに出て来たり、
屋台で作り置きされたご飯を子どもに与えたり、
デング熱が流行っているのに、裸同然の格好で外で遊ばせたり、、
と、患者さんの生活を見る中で、「感染しないかな、、危険だな、、」と思うことがしばしばあります。
本来であれば避けられる感染は出来る限り起こさない様に、予防の大切さは日々日々伝える必要があることを、自宅訪問をして改めて痛感しました。
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先日からお伝えさせていただいていますが、予防医療の大切さを伝えるためのプロジェクトは、こういった医療と向き合う中で感じた負からスタートしたものです。
手洗いという単純な事から、予防することの大切さを伝えられたら、と思います。
<予防医療×エンターテインメント>
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