活動レポート

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【カンボジア医療活動】11歳少女の夢と家族の想い

up 2025.04.11

医療インフラが整っていないカンボジアでは、適切な治療を受けられず命を落とす子どもたちが後を絶ちません。
しかし、ジャパンハートこども医療センターはそんな子どもたちを1人でも多く救えるよう、活動を続けています。
今回は病と闘いながらも美容師になる夢を持つ11歳のリナちゃんの物語をご紹介します。

医療の届かない地で、夢を諦めない子どもたち

リナちゃんは当初、膝の痛みと腫れがあったものの、生活に支障がなかったため病院を訪れませんでした。
しかし、転倒して骨折した際に受診したチャリティー病院での検査により、骨肉腫(骨にできる悪性腫瘍の一種)と診断されました。
その後、ジャパンハートを紹介され、本格的な治療が始まりました。

リナちゃんの治療は抗がん剤治療と手術による外科治療が中心となりました。
がんと診断されたとき、彼女は深い悲しみと恐怖に包まれました。さらに、足の切断という選択を迫られたとき、「友達と走れなくなる」「普通の生活ができなくなる」という現実と向き合わなければなりませんでした。
それでも、リナちゃんは懸命に治療を続け、足を切断した後も厳しい治療に耐えました。

初めて義足を試したとき、「両足で歩けていた頃のことを思い出せてうれしかった」と目を輝かせながら語ってくれました。
病室ではリナちゃんが友達に楽しそうにメイクやネイルを教える姿がよく見られます。
彼女は「美容師になって自分のお店を持ち、お客さんをきれいにしたい」という夢を抱き、現在も治療に専念しています。

リナちゃんの母親は「ジャパンハートに来ていなかったら、娘の命はなかったと思います」と切実な思いを語ります。
そして、「ほかの病院とは違い、ここでは看護師や医師の皆さんがとても優しく、言葉遣いも丁寧で、本当に来てよかった」と話す姿が印象的でした。

今ではリナちゃんの「美容師になりたい」という夢を全力で応援しており、母親は「退院してお金が貯まったら、お店を作るサポートをしてあげたい」と、将来への希望を語ります。
その表情には、明るい未来への確かな期待が感じられました。

リナちゃんの場合、適切な医療がなければ、骨肉腫は発見されることなく進行し、最悪の結果を招いていたかもしれません。
しかし今、彼女は義足で歩く喜びを感じながら、「美容師になりたい」という夢を持ち続けています。

子どもたちの夢を支える医療の現場で学んだこと

ジャパンハートこども医療センターでのインターンシップは専門的な医療知識のない私にとって、最初は戸惑いと不安の連続でした。
しかし、病と闘いながらも日々笑顔を絶やさない子どもたちと出会い、私の世界は大きく変わりました。

14歳の子から幼い子どもまでが共同生活を送る中で、私は彼らの将来への夢と希望に触れました。
美容師、警察官、会社員など、それぞれが夢を持ち、困難な状況の中でも前を向いている姿に深く感銘を受けました。

専門的な技術を持たない私にできることは何か。日々模索する中で、一つの答えを見出しました。
それは子どもたちへの共感と支えです。
患者さんの話に耳を傾け、笑顔を引き出し、病気のことを一時でも忘れられるような楽しい時間を提供すること。
そして、彼らの夢を全力で応援することが、私の役割なのだと気づきました。

「早く退院して勉強したい」
子どもたちは皆、口をそろえてそう語ります。
教育の機会が限られているカンボジアで退院後も夢に向かって歩めるようにと、私は院内で日本語を教える活動を始めました。
さらに、今後はカンボジア人スタッフと協力し、クメール語、英語、数学など、より多くの学びの機会を提供できるよう計画しています。

これからも、私にしかできない支援を模索しながら、子どもたちが前を向く力になれるよう活動を続けていきます。
子どもたちの笑顔こそが、私の何よりの原動力です。

学生インターン 小野澤真由

▼カンボジアでのプロジェクトの詳細はこちらから
https://www.japanheart.org/tag/cambodia/

▼プロジェクトの詳細はこちらから
カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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