はじめに
今年の1月までカンボジアのジャパンハートこども医療センターに駐在し、事務方スタッフとして活動しておりました原と申します。
長々と自己紹介をするのもどうかと思いつつ、この1年半の間に団体内でこれほど立場や活動場所を転々とした人はおそらくいないと思うので、経歴をご紹介いたします。
現在24歳の大学生です。ジャパンハートを知ったのは2年前、ゼミの先輩が職員だったことがきっかけでした。
2023年4月から8月に日本の医療機関の事業推進室で経験を積み、9月から学生インターンとしてカンボジアへ渡りました。
2024年1月には能登半島地震の支援にも参加しました。
帰国後は東京事務局でアルバイトを経て、再びカンボジアで半年間活動。病院での事務方業務を担当する日本人は私一人で、給与管理や広報、手術支援の受け入れなど幅広く対応しました。
今年3月に大学を卒業し、4月からはテレビ局に入社予定です。
ジャパンハートでの多様な経験をレポートにまとめようとしましたが、1本には収まりませんでした。
そんな時、ツアーでの「取材するなら何に焦点を当てる?」という質問を思い出しました。
私は「人です。ここで活動する人に惹かれています。」と答えました。
その気持ちは今も変わりません。今回のレポートでは、この1年半で出会った人々に焦点を当てたいと思います。
たくさんの出会い
まずは最も印象的だった患者さん、ヴィトウについてお話しします。
彼は私がカンボジアにインターンとして来た時にはすでに入院しており、非常に人懐っこく、すぐに打ち解けました。
僕は毎日のように彼の病室を訪れていました。
しかし、病状の悪化で脚の切断を余儀なくされました。ヴィトウ自身は脚を残したいと強く願っていましたが、家族と相談し命を優先する決断をしました。
手術当日に彼と最後にサッカーをしたことは今でも鮮明に覚えています。
その後、スタッフとしてカンボジアに戻った際、外来で経過観察に来ていたヴィトウと再会しました。
義足で私のもとへ駆け寄ってきた彼の姿を見た時、再びカンボジアに戻ってきて本当によかったと心から思いました。
上の写真が2023年10月、下の写真が2024年10月
次にご紹介したいのは、能登半島地震支援で出会った能登町役場の道下さんです。
学生インターン時代、私は約20日間、能登町の松波中学校という避難所で活動しました。
初めての被災地支援で戸惑う中、優しく声をかけてくれたのが道下さんでした。ご自身も被災されながら、毎日のように避難所に足を運び、運営に尽力されていました。
道下さんとは避難者数の管理や区画整備、トラブル対応、支援物資の管理など、様々な場面で一緒に活動しました。
ある時、避難者を交えて話し合いをする際に「原くん横に座っといて」と言われた時、自分がここで活動する意味を実感したのを覚えています。
活動終了後も気にかけてくださり、外部から来た私にも温かく接してくれた道下さんには感謝してもしきれません。
そして、どうしても触れずにいられないのが、ジャパンハートこども医療センター院長の神白先生と看護師長の藤井さんです。
学生インターンとしての活動を終えた後、再びカンボジアへスタッフとして戻った最大の理由は、「もう一度神白先生と藤井さんと、もっと近い距離で働きたい」という思いでした。
どんな相手にも腰が低く接しつつ、あらゆる職種のスタッフやボランティアから絶大な信頼を集める神白先生の姿は、私の理想とするリーダー像そのものでした。
藤井さんは仕事でもプライベートでも最もお世話になった方で、まとまりのない私の話をいつも優しく聞いてくださり、その温かさに甘えてばかりでした。
お二人と近くで過ごせた時間は、私の人生にとってかけがえのないものでした。
最後に、少し毛色は違いますが、インターン時代から最も多くの時間を過ごした男子寮のみんなについてお話しします。
シャワーヘッドもなく、お湯も出ず、大雨が降ると部屋まで雨が吹き込み、食べ物を放置すれば虫に食べられる。
そんな環境でしたが、みんなの温かさは何にも代えがたいものでした。
インターン初日、重いスーツケースを2階まで運んでくれたこと、一緒にトランプをして友達になった夜を今でも忘れられません。
彼らは最初に仲良くなった存在であり、カンボジアの楽しさを教えてくれた人たちでした。
彼らと過ごす中で、排他的な感情や先入観を持たずに人と接する大切さを学びました。
帰国の2週間前に日程を調整して連れて行ってくれた旅行の写真は、今でも頻繁に見返しています。
その他にも、仕事ではいつも無茶ぶりに応えてくれたり、一緒に悩んでくれたり、プライベートでもしょっちゅう遊びに付き合ってくれた学生インターンのみんな。
休みの日にいつも美味しいごはんを作ってくれたり、仕事で困った時は親身に話を聞いてくれたりと、小生意気な私の相手を嫌な顔せずにし続けてくれた看護師さん。
喧嘩をすることもあったけど、いつも真剣に議論を続けてくれて、最後はいつも一番の味方でいてくれたカンボジア人のアドミンリーダー。
大きな困難にぶつかった時、真摯に、そして誠実に一緒に解決に向けて取り組んでくれたカンボジア人の薬剤師の2人、、、
あげたい人はきりがないですが、このあたりで終えておきます。
最後に
活動内容ではなく人の紹介が中心になってしまいましたが、自分がここで手に入れた最も大きな宝は出会った方々とのご縁だと心から感じています。
確かに、大人との接し方やエクセルの数式、お金の管理といった実務的なことも多く学びました。
しかし、最も自分の中に積み重なっているのは年齢や職種、人種を超えて出会った皆さんからいただいた愛や言葉です。
改めて、この1年半でお世話になったすべての方に心から感謝申し上げます。
私は4月から社会に出ます。
今、逆風の吹くマスコミの世界に飛び込みますが、自分の芯をぶらさず、独りよがりにならず、ただ「伝える」のではなく「伝わる」報道ができる人間でありたいと思っています。
そして、ジャパンハートでお世話になった皆さんに、良い風の噂をお届けできるよう頑張りますので、少しだけ待っていてください。
ジャパンハート カンボジア
原 悠介
▼カンボジアでのプロジェクトの詳細はこちらから
https://www.japanheart.org/tag/cambodia/
▼プロジェクトの詳細はこちらから
カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動