昨年12月。クリスマスイブの24日に吉岡秀人がカンボジア入りし、4日間にわたる集中的な手術活動を実施しました。
今回手術を受けたのが、9歳のソリームくんと6歳のケマちゃん。2人とも2024年9月にジャパンハートこども医療センターにやってきました。
化学療法等の治療を経て、ソリームくんはクリスマスの25日、ケマちゃんはその翌日に手術を受けることに。
そんな2人の奮闘を振り返ります。
手術前日のクリスマスイブ。左からソリームくん、ニアン先生、ケマちゃん。
ソリームくんは、骨肉腫という骨にできる悪性腫瘍の治療のため、ジャパンハートこども医療センターに入院しています。
友達と遊んでいるときに足を怪我し、少し腫れましたが、時間が経てば治るだろうと気にせずに過ごしていました。
しかし、次第に右脚の腫れが大きくなり、プノンペンにある別のチャリティー病院を受診しました。
生体検査の結果、がんであることが判明し、ジャパンハートを紹介されました。
入院当初は人見知りしていましたが、すぐに同年代の男の子たちと仲良くなり、折り紙で大量の手裏剣を作ったり、お手製の凧を作って揚げたりと、院内で楽しそうに過ごす様子が見られました。
ケマちゃんは、腹部にできる固形の悪性腫瘍の治療のため、ジャパンハートこども医療センターにやってきました。
お腹に痛みがあり、クリニックを受診して点滴を受けたところ、痛みは軽減しました。
それから約8か月後、お母さんがケマちゃんのお腹に塊を見つけました。
本人には痛みはありませんでしたが、以前受診したクリニックとは別のクリニックでエコー検査を受けたところ、腫瘍が見つかりました。
その後、プノンペンの別のチャリティー病院を受診し、生体検査の結果、悪性であることが判明しました。
そこで、ジャパンハートを紹介されました。
人懐っこいケマちゃんは、スタッフ同士の手をつなぐのが大好きで、よくスタッフの手を取ってつなげてはクスクスと笑っています。
プノンペン出身の彼女は、院内で定期的にアートワークショップを実施いただいているSocial Compassさんが、以前イオンモールで開催したワークショップに参加したことがあり、院内で思いがけない再会を果たしました。
元気いっぱいでやんちゃな2人ですが、手術に対する恐怖心を少しでも和らげるために、スタッフも試行錯誤を重ねてきました。
ソリームくんは右脚を切断する手術が必要となります。
初めは手術を拒んでいましたが、執刀医のカンボジア人医師が丁寧に説明し、義足でのリハビリなどについて伝えると、次第に手術に対して前向きに捉えるようになっていきました。
同じく骨肉腫で脚の切断を経験した友達が入院していたことも、大きな支えになっていたようです。
また、手術の約1週間前には、2人を対象に手術室見学ツアーを行いました。カンボジア人のオペナースが中心となり、着替える場所やベッド、麻酔用のマスクのつけ方などを説明し、2人からもいくつか質問が挙がっていました。
手術室見学ツアーの様子
手術当日。医療者に先導されることなく、自ら控室に入っていった2人の姿に、彼らなりの覚悟を感じました。
手術は無事に終了。数日後、執刀医から手術を頑張った2人へ賞状が渡され、そのかっこいい賞状に、みんなの頬が緩む瞬間となりました。
手術当日。ソリームくんと付き添いのお姉ちゃん。
ポアン先生から渡された賞状を手に。ケマちゃんとお母さん。
ジャパンハートが定義する「医療の届きにくいところ」の一つに、「病気と闘う子どもたちのこころ」があります。
現在、ジャパンハートこども医療センターには30人を超える小児がん患者が入院しています。
一人ひとりの性格や年齢に応じて関わり方や説明の方法を考える必要があり、正解がないからこそ難しさを感じます。
それでも、スタッフ全員で試行錯誤を重ねながら挑戦を続ける先に、「心を救う医療」があるのではないでしょうか。
今年の10月末には、新病院が開院します。
より多くの子どもたち、そして周りの人々の心が救われるよう、スタッフ一同引き続き取り組んでまいります。
長期学生インターン 畔上颯馬
▼カンボジアでのプロジェクトの詳細はこちらから
https://www.japanheart.org/tag/cambodia/
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カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動