活動レポート

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【カンボジア医療活動】小児がん患者story

up 2025.01.20

ダニーとシナ。2人とも小児がんと闘う15歳の女の子です。
2024年12月、約1年にわたる入院生活を経て退院が近づいてきた2人に、対談形式でのインタビューに協力してもらいました。
地元から遠く離れたこの病院で、何を思い、何を考えて過ごしてきたのか、その本心に迫ります。

ダニー、15歳

左眼にできた横紋筋肉腫と呼ばれる悪性腫瘍のため、治療を行っています。
最初に左眼に腫瘍があると診断されて摘出手術を行ったのは2021年でした。
他病院で手術を行い、化学療法などを経て退院後、彼女へのフォローアップ等はありませんでした。

2023年7月に左眼の同じ箇所が再度腫れてきたため、以前通った病院を再訪し、同年12月にジャパンハートこども医療センターにやってきました。
入院後は化学療法を開始し、2024年4月にはプノンペンの病院にて1カ月間程度の放射線治療も行うなど、様々な副作用を伴う治療と懸命に向き合ってきました。

シナ、15歳

右大腿部骨肉腫という、骨にできる悪性腫瘍と闘っています。
最初に脚に痛みを覚えたのは11歳の頃。一度は近所のクリニックで処方された薬を飲んでよくなったものの、再び痛みを覚え、プノンペンの病院を受診しました。

しかし、なかなか検査結果が出ずに行き詰まり困っていたところ、叔母がFacebookでジャパンハートこども医療センターを見つけます。
初めて脚の痛みを感じてからおよそ3年、14歳の頃でした。

2024年6月には、創設者・吉岡秀人による集中的な手術活動期間で、脚を切断する手術を実行しました。
「命を守るためには脚を切断しなくてはならない」という非常に厳しい選択に対して想像を絶する恐怖心や葛藤があったと思いますが、彼女なりに理解し、受け止め、前へ進んできました。

退院が決まった友達がいると自分のことかのように喜び、多くの仲間たちを見送ってきた2人。
そして新しく入院してきたメンバーには「名前なんていうの?」と温かく迎え入れてきました。
そんな彼女たちも、そろそろ退院。インタビューでは恥ずかしがりながらも、想いを言葉にしてくれました。
(聞き手:現地事務スタッフ、Chhuon Chansophanan)

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■ はじめに、自己紹介をお願いします。

ダニー:ダニーです。15歳です。プレイベン州から来ました。学校には7年生(中学1年生)まで通っていました。

シナ:私の名前はシナです。同じく15歳で、コンポンチャム州から来ました。

 

■ もうすぐ退院ですね?

ダニー、シナ:はい!

 

■ 退院が近づいてきて、どうですか?どんな感情ですか?

ダニー:嬉しいです!2023年の12月から入院しているので1年が経ちました。

シナ:私も嬉しいです!ただ、病院で一緒に過ごした友達のことが恋しくなると思うな、、。

 

■ 友達は何人くらいできたの?

ダニー、シナ:数えられないよ!たくさんいます!

 

■ 長い期間病院にいて、入院中最もつらかった経験や大変だったことは何でしたか?

ダニー、シナ:抗がん剤治療です!!身体はだるいし、、、(同時に話し始める)

 

■ ひとりずつ話してください(笑)

ダニー:抗がん剤治療です。吐き気、頭痛、めまいが本当につらかった。身体がとてもだるかったです。

シナ:同じです。頭痛はそこまでなかったけど、身体がだるく、特に吐き気がつらかったです。

 

■ 入院生活で忘れられない思い出や印象に残っていることはありますか?

シナ:一緒に入院している友達や年下の子どもたちとみんなで集まって遊ぶ時間がとても楽しかったですね。ジャパンハートの先生たちと過ごした時間も楽しかったですよ!

ダニー:私も同じだな。友達と遊んだりお話したりする時間が楽しかったです。

 

■ そろそろ退院ですが、家に帰ったらやりたいことや、計画していることはありますか?海で遊ぶとか、友達に会いたいとか、親戚と集まりたいとか、、。

シナ:まずは、お父さんとお母さん、そしてきょうだいに会いたいです。それだけかな。

ダニー:全く同じです。両親ときょうだいと時間を過ごしたいです。

 

■ 同じく病気と闘う子どもたちに、何か伝えたいメッセージはありますか?

シナ:まず、自分の子どもががんだと分かったら、親は子どもをジャパンハートに連れてきてください。無料で治療をしてくれるし、食事も提供してくれます。ここの先生たちはよく診てくれるし、精神的な部分でもケアをしてくれました。
そして病気の子どもに対しては、落ち込んだり諦めたりしそうになることもあるかもしれないけれど、頑張ろう、頑張っていこう、ということを伝えたいです。

ダニー:頑張ってたくさん食べて、抗がん剤治療を続けて、病気が治るまで頑張ろうと伝えたいです。Susu!(クメール語で「頑張れ!」)

 

■ ありがとうございます。ちなみに、2人は知り合ってどれくらい?

シナ:最初は個室にいたので、1人で時間を過ごしていました。その時は誰も知らなかったけど、6月に手術をして共同部屋に移ってからみんなと知り合いになり、ダニーとも友達になることができました。

 

■ ではここで、突然ですがお互いの良いところを3つ、紹介してください!

ダニー、シナ:えー!(照笑)

 

■ ではまず、シナさんから!

シナ:ダニーはとても性格が良くて、フレンドリーで、そしてとても穏やかなところです!

 

■ 続いて、ダニーさん!

ダニー:シナはとっても明るくて、性格が良くて、誰とでもフランクに会話ができるところかな!

 

■ むちゃぶりにも応えてくれてありがとうございました(笑)

最後に私からのメッセージですが、まず2人はとても強いです。
家に帰っても、悲しいことやくじけそうなことに直面することはあると思います。
でも、ここで病気を乗り越えてきたように、強く、そしてモチベーション高く過ごしてほしいなと思います。
あなたたちの家族も、病院も、みんなが2人のサポーターですから!

ダニー、シナ:はい。本当にありがとうございました!

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病室も異なり、2人はいつも一緒にいる訳ではありません。キャラクターも違います。
ただ、年下の子どもたちへの面倒見がよく、いつも笑顔で病棟の雰囲気を明るくしてくれる2人には、どこか共通するものを感じます。
15歳という多感な時期に制限の多い入院生活を1年間も過ごし、多くの友達が自分よりも年下の環境で、我慢や葛藤もあったと思います。
そんな中でも周りに気を配り、スタッフをも笑顔にしてくれるダニーとシナの存在は、彼女たちが思っている以上に大きく、そして頼りがいがありました。

後日、小児病棟に顔を出すと、ダニーとシナが手を繋ぎながら年下の子どもたちと遊んでいました。
2人が手を繋いでいるのを見たのは初めてでした。
ジャパンハートこども医療センターで出会った仲間たちの存在やそれぞれの闘病経験がこれからの人生を進んでいく中で支えとなりエネルギーとなるよう、子どもたちが前向きに治療と向き合えるサポートを引き続き模索していきます。

長期学生インターン 畔上颯馬 

▼カンボジアでのプロジェクトの詳細はこちらから
https://www.japanheart.org/tag/cambodia/

▼プロジェクトの詳細はこちらから
カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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