活動レポート

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栄養管理部だより「周産期との関わり」

up 2024.08.21

こんにちは!栄養管理部の桑原です。

私たち栄養管理部は、小児がん病棟での給食提供・栄養教育だけでなく、一般病棟や周産期事業部とも連携して栄養の大切さを伝える活動をしています。
本日は周産期事業部との関わりについてご紹介します。
当院の周産期事業部では、産褥入院や分娩のサポート、妊婦健診、乳児健診、近隣のヘルスセンターでの出張妊婦健診を実施しており、栄養管理部も活動に参加しています。

乳児健診

ジャパンハートで産まれた赤ちゃんを対象に、月に1回、身体計測と発育測定、医師の診察を行っています。
身体計測結果は、一人ひとりが持っている成長曲線に記録します。
栄養士が主に介入するのは、成長曲線で-2SD以下になる赤ちゃん(月齢に対して体重が少ない)と、生後6ヶ月を迎えて離乳食が始まる赤ちゃんです。

私の印象では、当院の乳児健診に来る赤ちゃんはほとんどは順調に体重を増やしていて、低体重の赤ちゃんは1回の健診で0人〜多くても2人ほどです。
さらに、体重の伸びが悪い、というよりも、生まれた時に低体重で、体重の伸び自体は順調である、という子が多いです。
そういう子たちにはミルクの回数や量を助産師さんと確認した上で、お母さんを不安にさせないような声かけをしています。

また、生後6ヶ月の赤ちゃんには、離乳食の始めかたを確認しています。
離乳食の回数や量、食べられる食材、調味料は使わず素材の味のみにすることなどをお伝えします。
カンボジアで推奨されている離乳食はボボーカックルックルーンという具入りのお粥で、それ自体は知っている人が多いですが、赤ちゃん用に食材や味付けを調整するよう伝えています。
私自身、新生児や乳幼児の栄養指導の経験がほとんどないため、離乳食の進め方に関しては日本のガイドラインを確認しつつ、カンボジアで推奨されているものも踏まえて検診に参加しています。

乳児健診の様子です。健診にはお父さんも一緒に来るご家族も多いです。赤ちゃんの栄養について主に話しますが、ご家族の食事なども伺って、栄養バランスについてお話ししたりもします。

真ん中に写っているのが成長曲線のグラフです。前回の健診からの体重の変化を確認します。

ヘルスセンターでの出張妊婦健診

当院があるカンダール州ボンネル地区には、ヘルスセンターが9カ所あり、周産期事業部では、そのうちの8つのヘルスセンターを定期的に訪問し、妊婦健診を実施しています。
(残りの一つは当院に近く、基本的に妊婦さんは当院に隣接するポンネル病院へ健診に来ているため、出張はしていません。)

ヘルスセンターでは通常できないエコーも実施しているため、出張妊婦健診の日はたくさんの妊婦さんが健診に来ます。
栄養士は体重増加に問題がある妊婦さんへの栄養指導やエコーの待ち時間に栄養教育をしたり、市販の飲み物に入っている砂糖の量を表したものや、貧血、減塩のポイントをまとめた教材を持っていくと、ヘルスセンターの看護師や助産師を中心に興味を持ってくれて、妊婦さんへ情報を共有してくれます。
同じものを使いたいと言ってくれるスタッフもいて、BMIの簡易表やカンボジアのフードピラミッド、貧血のリーフレットなどをヘルスセンターにお渡ししています。

カンボジアでは日本の学校では当たり前の「食育」が実施されていません。
そのため、多くの人が基本的な栄養の知識がないまま大人になり、結婚、妊娠といったライフステージの変化を迎えています。
食事の話は初めて聞くという人も多いので、栄養指導をするときには、たくさんのことを伝えるのではなく、食事内容を聞き取って、ポイントを絞って伝えています。
赤ちゃんがお腹にいるので、食事の話は興味を持って聞いてくれる人がほとんどです。
お話しした内容が妊婦さんたちの頭の片隅に少しでも残ってくれていたら嬉しいです。

右の2人はヘルスセンターの助産師さんたちです。栄養に興味を持ってくれて、ティラ栄養士とともに健診にきた妊婦さんへ栄養について話しています。

待ち時間にヘルスセンタースタッフと一緒に栄養指導を実施しました。

 

桑原真菜実 栄養管理部部長 / 栄養士

2023年7月からカンボジアで勤務している桑原です。病院に2年勤務した後、青年海外協力隊とNGOスタッフとして4年間東ティモールで活動しました。カンボジアの食文化を学びながら、患者さんをはじめ多くの方々へ栄養の大切さを届けられるよう、頑張ります!


▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部

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