ジャパンハートこども医療センター 長期ボランティア臨床検査技師 森です。
今回も検査技師だよりをお届けします。
はじめに
日本で臨床検査技師になるには4年制大学、短期大学及び臨床検査技師養成専門学校に3~4年の修学により臨床検査技師国家試験受験資格が与えられ、国家試験に合格すれば臨床検査技師として業務を行うことができます。その後の卒後教育は日本臨床検査技師会(日臨技)、各都道府県臨床検査技師会及び検査試薬メーカー主催の研修会などに参加することで、個人のスキルアップが図られます。
現在、カンボジアにある「ジャパンハートこども医療センター」にてボランティア活動していますが、昨年11月から同病院にて勤務のカンボジア人臨床検査技師と業務を行うなかで、彼への教育として自身の経験と技術を何かしら還元できないかと考えその取り組みについて報告します。
現状
カンボジアの臨床検査技師養成の大学におけるカリキュラムをカンボジア人技師や隣接する公立病院臨床検査技師に聞くと、修業年数は4年、国家試験に合格して臨床検査技師の資格が与えられるのは日本と同じですが、数多いカリキュラムのなかで病理学検査のみ講義がなかったとのことでした。
日本では先のとおり、卒後教育として日臨技や各都道府県臨床検査技師会及び検査試薬メーカーが研修会などを催したり、日臨技認定センターや他学術団体との連携による日臨技認定機構において、より高い専門性を習得することが可能な環境でたいへん恵まれていると思われます。しかしカンボジアではカンボジア臨床検査技師会があるものの、日本のような細かい卒後教育はまだまだ発展途上のようです。
そういう環境でのカンボジア人技師への卒後教育は自己学習が主体となるようであり、日本のような屋根瓦方式での指導体制があれば五感をフルに活用し習得にも時間が短縮されるように思われます。しかし自己学習となると自身で研修会や研修場所等の情報収集を行い、そして自身で学習するという能動的行動が必要となり専門性を高めるにはより時間を要すると考えます。
現病院でのカンボジア人技師への指導は、CBCデータ、グラム染色、末梢血血液像、心電図、心エコー等それぞれの症例ごとにデータの読み方等はコメントしてきましたが、何れも散発的であったように思われます。
少しでも臨床検査に関わる内容がすぐ調べられるよう、まず手元にいつでも見開きできる臨床検査に関わる英語版参考書をプレゼントしました。そして参考となるネットでのURLを紹介し、いつでも自己学習できるようアドバイスしました。
今後の目標
今後は系統だった学習のためのファイルを作成し、まずは基本の習得を目指しアドバイスしようと考えています。彼とのやりとりのなかで、彼は将来臨床検査のスペシャリストになりたいと語っていました。その目標達成のため私の活動期間中に少しでも私の知識と経験が役立てばうれしい限りです。
2023年12月からカンボジアで検査技師として活動しています。40年間臨床検査技師として総合病院で勤務し、これまで経験した知識と技術を海外ボランティアという形で社会貢献できればと考えジャパンハートに応募しました。自身のスキルアップ、レベルアップに繋げていきたいと思います。
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カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動