活動レポート

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栄養管理部だより「1型糖尿病イベントに参加しました」

up 2024.07.10

こんにちは!栄養管理部の桑原です。
突然ですが、1型糖尿病をご存知でしょうか。
糖尿病と聞くと、生活習慣や食習慣が問題で発症する病気というイメージが一般的だと思いますが、1型糖尿病というのは膵臓のインスリン(血糖値を調整するホルモン)を出す細胞が壊されてしまい、インスリンが出なくなる病気です。
1型糖尿病と診断されたら、血糖測定をしながら、生涯にわたって毎日数回のインスリン自己注射を行い、血糖値をコントロールする必要があります。

そうした1型糖尿病患者さんへ支援を行っているのが、Action4DiabetesというNGOです。
この団体はカンボジア、ベトナム、タイ、ラオスなどの東南アジアで、1型糖尿病患者さんへ医療用品や医療サービスの提供、就学支援などを実施しています。
カンボジアでは国立小児病院やアンコール小児病院、Kantha Bopha病院などと連携しているとのことです。
また、年に数回「1型糖尿病キャンプ」というイベントを開催しています。
先月プノンペンで開催されたイベントで、栄養管理部が栄養についてのレクチャーを実施してきたのでご報告します。

今回のキャンプは、対象が15歳〜25歳という若い世代でした。進学や就職、結婚、妊娠など、ライフステージが大きく変化してくる年代でもあります。

レクチャーの時間は75分という限られた中でどんな内容にするのかということをティラ栄養士と議論を重ね、以下の3つのトピックに絞りました。

1、食品群ごとの働きを知ろう。血糖値に影響する食品群はなんだろう。
2、栄養成分表示ラベルの見方を知ろう。
3、バランスの良い食べ方とは。

食事の量や食べ方など、詳細な内容にすればするほど、検査結果や血糖値の推移などを見て個人対応をする必要があり、集団での栄養教育には向きません。
カンボジアは食育がカリキュラム化されていないため、基礎的な内容からはじめて、参加者の年齢も考慮して、栄養成分表示のポイントも伝えようと考えました。

食品のグループ分けゲームと、市販の飲み物やお菓子の栄養成分表示を確認しています。カンボジアで売られているものは、タイ語表記のものもたくさんあるので、炭水化物の表示はここにあるというのを伝えています。また、特に甘い飲み物には砂糖がたくさん含まれていることも確認します。

今回のイベントには医学生や看護学生のボランティアや、国立小児病院の医師や看護師なども参加しており、栄養レクチャーもたくさんのスタッフに手伝ってもらいながらなんとか形にすることができました。

このイベントを通して、この国の1型糖尿病患者さんに対するサポート体制はまだまだ脆弱であるということを感じました。
月に一度の診察に片道3時間、バイクで通っているという家族がいたり、学校の先生たちの理解もまだまだで、最初は学校に通えなかった、という参加者もいました。

そうした経験の共有を参加者自身が自分の言葉で伝えていて、日本のサポート体制と比較しても、病気を受け入れるのに時間がかかっただろうと容易に想像でき、心が痛くなる場面もありました。

糖尿病と食事は切っても切り離せませんが、「食べちゃいけないものはない、量やバランス、頻度が大切」という、糖尿病に限らず全員に当てはまる、健康的な食生活が基本となります。
Take home messageとしてそれを最後に伝えました。
過度な制限をかけて辛くなるのではなく、続けられることを一番に、食事を楽しんで欲しい。それが少しでも伝わったら嬉しく思います。

グループに分かれて自分の経験を共有しています。

集合写真。黒いTシャツが運営側として参加した人たちです。自分の担当以外のプログラムにもサポートに入ってくれて、とてもいいチームワークで進行することができました。

桑原真菜実 栄養管理部部長 / 栄養士

2023年7月からカンボジアで勤務している桑原です。病院に2年勤務した後、青年海外協力隊とNGOスタッフとして4年間東ティモールで活動しました。カンボジアの食文化を学びながら、患者さんをはじめ多くの方々へ栄養の大切さを届けられるよう、頑張ります!


▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部

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