はじめに
日本に在職中は学会や研修会等を通じて頻繁に他施設の臨床検査技師間で交流し、時に情報入手のため短時間の施設訪問により自身の目で新情報を入手していました。
また技術習得のため病院の許可を得て数日間他施設への実習訪問により自身のスキルアップにも努めてきました。
現在活動中の「ジャパンハートこども医療センター」では、現病院検査室内での活動のみで他施設との交流は多くはなく、カンボジアの病院における検査室の現状は活動から6か月が経過してもあまりわからない状況でした。
連携している病院なのだから、もっと関係を築けたら良さそうだと感じていたものの、これまで検査技師がジャパンハートに長期で駐在し続けていたわけではないため、つながりを得るきっかけをつかめずにいました。
そうしているうちに日本人ボランティア看護師の1人が隣接する公立病院に1ヶ月間派遣されることとなり、その看護師の方から公立病院検査室の訪問を勧められ本年4月下旬、自身の休日を利用して初回はその看護師の方とともに訪問しました。
その後は同じく自身の休日を利用して公立病院検査技師の方と調整し、4月下旬から6月下旬までに7回訪問しました。
今回は、その訪問について報告いたします。
公立病院検査室の現状
公立病院検査室へは午前11時前後、20~30分程度の短時間の訪問であり、訪問による業務の停滞がおこらないように心掛けました。
検査項目は現病院での測定項目に加え、生化学検査及びヘモグロビンA1c、抗酸菌染色、結核菌群核酸同定検査、そして感染症検査ではイムノクロマト法によるマラリア及びデング熱を実施していました。
しかし当院で実施しているグラム染色や輸血時のクロスマッチは実施されておらず、当院同様心電計や超音波検査機器は検査室内に設置されていませんでした。
スタッフは約12名のようで、3~4人が3グループに別れ3日に一度夜勤及び採血を含む日常業務を行う検査体制をとっていました。
「ジャパンハートこども医療センター」検査室は現在、日本人ボランティアである私とカンボジア人検査技師2名で検査業務が滞らないようシフトを組んで業務を行なっています。
しかし、一人業務の時もあるため採血業務まで行うことができず公立病院のように時間外の緊急検査に対応できる体制作りも難しい状況にあります。その点において緊急時における公立病院との検査レベルにおける連携は今後必要であると感じました。
訪問を終えて
公立病院訪問によりカンボジア人検査技師数名との交流が生まれ、意見交換とまではいきませんがスマホアプリを通して連絡がとれるようになり、個人的な訪問ですが公立病院検査技師の方々との信頼関係が少しずつ構築されつつある状況です。
今後は私自身の経歴等を理解いただき、何か公立病院検査室に対して私がお手伝いできることがあれば積極的に関わり、現病院検査室と公立病院検査室がお互いwin-winの関係になれるよう今後も訪問を重ねていこうと思います。
公立病院カンボジア人検査技師との交流
公立病院検査室での検体測定
公立病院外来での超音波検査
公立病院検査室入口
2023年12月からカンボジアで検査技師として活動しています。40年間臨床検査技師として総合病院で勤務し、これまで経験した知識と技術を海外ボランティアという形で社会貢献できればと考えジャパンハートに応募しました。自身のスキルアップ、レベルアップに繋げていきたいと思います。
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カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動