カンボジアにある「ジャパンハートこども医療センター」で活躍する看護師にをインタビューです。
今回は2024年5月に途上国での1年間の活動を終えられた吉田夕佳看護師にインタビューいたしました。
1年間の活動を終えた率直な感想を教えてください
楽しいことだけではなく、正直大変な部分もありました。患者さんと向き合うことと同じくらい自分の弱さと向き合うことも多く、途中挫けそうなときもありました。
その度に、JHのスタッフの方や同期が支えてくれて、一歩ずつ前に進んで今に至ることができました。
今思えば、毎回壁にぶつかるたびに自分の弱さとも向き合い続けたことは試練でしたが、あの経験のおかげで大きく成長できたと感じています。
どうしてジャパンハートの活動に参加されたのですか?
元々、中学校の授業でストリート・チルドレンの映像を見たことがきっかけで途上国での活動に興味を持ちました。
それから、大学生の時に実際に自分の目で見てみたいと思い、カンボジアやケニア、インドを訪れました。
その際に医療者の方にも出会い、いつか看護師として途上国支援に関わりたいと思い始めました。
看護師になって5年目くらいのときに、自分の進路を考えた時に、目標であった途上国での医療支援活動を思い出し、コロナ禍も終えたので迷うことなくすぐに申し込みました。
1年間で行なった活動について教えてください
私は、ミャンマー、カンボジア、ラオスの3カ国で活動を行いました。
特にミャンマーとカンボジアには半年ずつ滞在し、ミャンマーでは、月に1回、吉岡ミッション(約1週間、 集中して100件ほどの手術をする期間)があり、患者さんの入院受け入れや周手術期における看護ケアを行いました。
ミャンマーは情勢が不安定なこともあり、患者さんの中には危ない道を通って何時間もかけ病院にやってくる方もいました。
病院に来ることが当たり前 ではないこと、厳しい環境で生活する患者さん、日本とは異なる環境に初めは戸惑いながらも患者さんの温かい笑顔と優しさに助けられることが多かったです。
カンボジアでは、主に成人病棟と外来を担当しました。主に病棟では周手術期の看護ケアの他に、糖尿病などの生活習慣病も多いため生活指導も含めた活動を行いました。
退院指導では、カンボジア人スタッフと一緒に患者の家族背景や経済状況を考え、どの方法がべストなのか、継続して処置ができるにはどうしたらいいかなど意見交換しながら進めていきまし た。
1年間の活動で特に印象的だったことはなんですか?
ミャンマーでは、脳が外に出た赤ちゃんを担当することがありました。その赤ちゃんの人生はもしかしたらそんなに長くないかもしれ ない。そのような状況でも今できることを最大限にする。
そのような吉岡先生の姿に胸が熱くなりました。吉岡先生はその赤ちゃんを 「運のいい子」と声をかけており、可能性を信じ手術を行いました。
手術をして脳の飛び出ている部分が小さくなり、お母さんが今まで一人で出来なかった抱っこができ、おっぱいを飲ませられるようになり、喜んでいる姿がとても印象的で今でも忘れられません。
このことから、治療だけでなく、限られた時間の中で生活する患者さんが生きてきてよかった、愛されていると感じるような関わり方や家族の思いが叶えられるような看護が「心を救う看護」に繋がるのではないかと感じました。
今でも家族から写真が届き、その赤ちゃん は今年の6月で1歳の誕生日を迎えます。
今後の目標を教えてください
今後はより患者さんと近い環境でじっくり時間をかけて向き合いたいです。
この1年間の活動で、1人の患者さんに多くの時間をかけられる医療を経験してみて、大きなやりがいを感じました。
「心の看護」はこの先も私の中で大きなテーマであり、大切にしたい看護です。
経済状況などから病院に来ることが遅くなり、もうすでに病気が進行している患者さんが多くいました。
そのような患者さんと向き合い、限られた時間の中で患者さんのために何ができるのか、患者さんを知れば知るほど、自分が知らなかった世界を知り学ぶことも多かったです。
将来、ジャパンハートの活動参加を検討している方にアドバイスをお願いします
このようなプログラムに参加する際に、色々なことが自分の壁となって現れるけど、やりたいと思ったら、その気持ちを素直に受け入れて挑戦してください。私はこの活動を通して改めて「看護師になって良かった」と思うことができました。
また、同じ志を持った 仲間と一緒に活動することで今までなかった視点で物事を捉えることができるようにもなりました。看護だけでなく自分自身を大きく成長できる環境があります。ぜひ皆さんにも経験してほしいなと思います。
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カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動