活動レポート

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検査技師だより⑦ カンボジアで求められる役割とは

up 2024.02.27

検査全般を支える専門職として

カンボジアの「ジャパンハートこども医療センター」には、私の前任の米倉検査技師が到着するまで長期に渡って常駐する臨床検査技師がいませんでした。
そのため、日々の血液検査なども業務の傍らで看護師さんが行っていたそうです。

そうしたなかで米倉検査技師が臨床検査部門の基礎を築いてくれたことで、看護師さんも本来の看護業務に専念できるようになりました。
また、近隣に大規模病院等の検査機関が無い環境で、血液検査や心電図検査、小児がん患者の骨髄穿刺など、院内で臨床検査技師に求められる役割はとても幅広いです。
検査技師が常駐することによって、診断や治療に必要な検査を迅速かつ正確に行えるようになり、医療チーム全体のなかでも重要な役割を担っていると感じています。

カンボジアでの血液検査

米倉検査技師が1年間の長期ボランティア活動を終えて帰国した今は、カンボジア人のチュンリー検査技師と私の2人体制で業務にあたっています。多くの検査のなかで、今回の活動レポートでは「血液検査」についてご紹介したいと思います。

血液検査のなかでも「全血球計算」(CBC:complete blood count)は、尿検査とともに初診時に行うスクリーニング検査です。血液疾患の診断や経過観察、貧血、出血、感染症等がある場合に行われます。
「ジャパンハートこども医療センター」でも日常的に実施する重要な検査で、このCBC測定だけで1日20~30件程度は行っています。

実は日本国内の病院で40年に渡って臨床検査業務に携わってきた私ですが、その大半は「臨床微生物検査」が中心でした。
「超音波検査」にも携わっていましたが、血液検査は日当直業務で経験したCBC測定と凝固検査程度で、骨髄穿刺などは経験がありませんでした。

そのためジャパンハートの活動に参加することが決まった後、血液検査を少しでも理解して現場で活かせるようにと思い、職場の血液検査担当にお願いして半年間、病院での通常業務の傍ら毎週末レクチャーを受けて準備しました。
そのおかげで、「どんな検査も熟練の血液検査担当技師のように」とはいきませんが、最低限の分類はできるようになったと考えています。

ジャパンハートこども医療センターでは、小児の固形がん患者だけでなく、そのほかの疾患の小児患者や成人の診療も行っています。
毎朝、10名ほどの入院患者の採血が臨床検査技師に提出され、そのCBC測定を行っています。
特に小児がん患者は化学療法の影響で急激な汎血球減少が生じることもあり、前回の検査結果と比較しながら測定結果を注意深く観察し、状況に応じて担当医とも共有しています。

小児がん治療の根幹を支える「骨髄穿刺」

もう一つ、この病院で臨床検査技師に求められる重要な役割が「骨髄穿刺」です。
骨髄の細胞に異常がないかどうかを調べるもので、小児がんの診断や治療方針を決めるために欠かせない検査であることから、医師・看護師・臨床検査技師が一丸となって検査にあたっています。

この「骨髄穿刺」については米倉検査技師が詳しく紹介していますので、こちらの活動レポートをご覧ください。

【検査技師だより①】 臨床検査技師に密着!

私自身もまだまだ勉強しながらカンボジアでの業務にあたっており、専門家からみるとまだまだ甘いと言われる可能性は高いと考えています。
しかし、浅く広いものであっても専門知識を持った臨床検査技師が常駐することで、現地の医師や看護師をはじめとする医療チームとの役割分担が可能となり、迅速かつ正確な診断・治療方針の決定に繋がります。

海外での長期ボランティアへの参加を決めた当初の目的である、「これまで培った知識と技術の還元」も達成できているように感じており、今後もいろいろな機会を通して自身のさらなるスキルアップ、レベルアップにつなげていきたいと思います。

森三郎 カンボジア長期ボランティア / 臨床検査技師

2023年12月からカンボジアで検査技師として活動しています。40年間臨床検査技師として総合病院で勤務し、これまで経験した知識と技術を海外ボランティアという形で社会貢献できればと考えジャパンハートに応募しました。自身のスキルアップ、レベルアップに繋げていきたいと思います。


▼プロジェクトの詳細はこちらから
カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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