皆さんこんにちは。カンボジアの「ジャパンハートこども医療センター」で長期ボランティアの臨床検査技師として活動している森です。
この度、同じくボランティアとして活動している日本人の内科医とともに現地スタッフ向けに「心臓超音波検査(心エコー)」の講習を行うことになりましたので、今回の活動レポートではその様子を詳しくお伝えします。
カンボジアの医療に欠かせない“超音波検査”
「ジャパンハートこども医療センター」にはCTやMRIなど最新の医療機器が無く、超音波装置が画像診断に重要な役割を果たしています。
院内には3台のエコー機器があり、外来から小児がん病棟、周産期病棟まで各現場で日常的に用いられています。
そうしたなかで現地スタッフのエコー検査への関心や熱意も高く、今回、同じく長期ボランティアとしてカンボジアで活動している金本医師とともに「心臓超音波検査(心エコー)」の講習をすることになりました。
循環器内科医としての豊富な経験を有する金本医師から「「ぜひ一緒にレクチャーしましょう」とお誘いいただいたことがきっかけです。
当院では医療設備等が限られていることから手術をはじめ心疾患の治療は実施していませんが、急患も含めて日々多く訪れる患者さんのなかには心疾患の症状を訴える方もいます。
そうした患者さんの診療を行う際、病態や首都・プノンペンの病院への搬送の必要性について迅速かつ的確に見極めるために、心エコーのノウハウは非常に重要です。
心エコー講習は週1回、実践形式で
講習は毎週水曜日、日勤の終業後に外来スペースで行っています。カンボジア人医師の有志が集まり、スタッフ1人が被験者となって学ぶ実践形式スタイルです。
「心臓超音波検査(心エコー)」は、超音波を心臓にあてて返ってくるエコー(反射波)によって心臓の形や動きを画像によって映し出す検査です。
心疾患の診断だけでなく、治療方法の選択など幅広く活用されています。
講習ではまず、基本的なアプローチである
①傍胸骨長軸像
②傍胸骨短軸像
③心尖部四腔像
④心尖部二腔像
⑤心尖部長軸像
⑥下大静脈径
について、参加者1人ひとりが一通りの画像を抽出します。
その上で、計測や「カラードップラー法」などのアプローチについても学んでいます。
症例報告を行う金本医師
また、こうした実践形式での講習に留まらず、金本医師が全医療スタッフを対象に実際の症例報告も行いました。
多くのスタッフが参加し、普段経験しない症例報告に出席者がとても興味を示していたことが印象的でした。
臨床検査技師として臨床や現地スタッフの教育を支える
臨床検査技師の業務は大きく分けて「検体検査」と「生理機能検査」の2つに分類されています。
前者は血液や骨髄液などの検体を分析する業務で、当院では入院病棟や外来から多くの検体の検査依頼が入るため、この「検体検査」が日常業務の大半を占めています。
とりわけ小児がん病棟の入院患者さんについては、1人あたり週に2~3回は血液検査を行っているほか、骨髄液の検査も頻繁に入ります。
一方の「生理機能検査」は心電図や超音波検査、脳波など生体情報を分析する検査です。特に超音波検査は腹部、心臓、頸動脈、乳腺、消化管、下肢動脈と多岐にわたります。
私は日本で長く臨床微生物学的検査に携わってきており、今後は心エコーのような超音波検査以外にもグラム染色に関して現地スタッフへのアドバイスが可能と考え、そのための準備を進めていきたいと考えています。
森三郎 カンボジア長期ボランティア / 臨床検査技師
2023年12月からカンボジアで検査技師として活動しています。40年間臨床検査技師として総合病院で勤務し、これまで経験した知識と技術を海外ボランティアという形で社会貢献できればと考えジャパンハートに応募しました。自身のスキルアップ、レベルアップに繋げていきたいと思います。
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カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動