こんにちは!栄養管理部の桑原です。
カンボジアの医療現場では「医療」と「栄養」を結び付ける考え方が一般的ではなく、栄養士が勤務する病院もほとんどありません。
カンボジア国内では臨床栄養についての情報も手に入りづらいため、「ジャパンハートこども医療センター」の栄養管理部では、国内外の勉強会や会議などにも積極的に参加して最新の情報を得るよう努めています。
今回もカンボジア人栄養士ががん患者の栄養などに関する国際会議に参加し、そこで得た情報を病院の医療スタッフとも共有しました。
この活動レポートではそうした日々の活動について、詳しくお伝えします。
バンコクで開かれた国際会議に参加
左がティラ栄養士
「ジャパンハートこども医療センター」のカンボジア人栄養士、ティラさん。
もともと医師を目指して大学の医学部を出ましたが、その後タイに留学して栄養士の資格を取り、約3年前からジャパンハートで勤務しています。
ティラ栄養士は「臨床栄養」という概念自体がまだ当たり前ではないカンボジアで、栄養面から医療を支えることを目指しています。
そのために自ら人脈を築き、最新の情報を集めることを大切にしていて、国内外問わず勉強会や会議にも積極的に参加しています。
今回も8月24~27日にタイのバンコクで行われた「がん栄養および臨床栄養」に特化したカンファレンスに参加し、帰国後、得た情報を医師や看護師を中心とした医療スタッフに共有しました。
医療スタッフに最新情報を共有
医療スタッフ向けのレクチャーでは、新しいスタッフがいたこともあり、改めてティラ栄養士の経歴と栄養管理部のこれまでの取り組みを紹介しました。
ティラ栄養士がジャパンハートで働きはじめて約3年、彼女のことや栄養管理部についてよく知っているスタッフもいますが、新しいスタッフも増えているため、改めて栄養管理部の活動を共有できてとても良い機会となったと思います。
がん患者さんへの栄養介入について
そして、レクチャーの後半では癌患者さんに対する栄養介入について説明を行いました。
栄養介入はどのように行われるのか、栄養スクリーニング、アセスメントの流れに沿って説明してもらいました。
栄養管理部では定期的に患者さんの体重測定を行っているほか、入院に付き添う保護者にお菓子なども含めて食べたものを全て記録してもらい、患者さんそれぞれの栄養状態を把握しています。
患者さんの中にはご飯が思うように食べられない人、四肢切断手術のため、体重補正をかけないと正しいBMIが出せない人もいます。
アセスメントのために必要な身体計測の正しい方法も改めて説明しました。
栄養士は直接的な治療をすることはできませんが、栄養状態を評価し、適切な介入をすることで、患者さんのQOLの向上につながるのではないかと思います。
より多くの医療者に栄養の大切さを知ってもらうべく、今後も活動していきたいと思います。
また、ジャパンハートでは小児がん治療だけでなく、成人の外来診察や手術も行っています。
生活習慣病を合併している患者さんも多いため、今後成人の患者さんへも積極的に介入していきたいです。
桑原真菜実 栄養管理部部長 / 栄養士
2023年7月からカンボジアで勤務している桑原です。病院に2年勤務した後、青年海外協力隊とNGOスタッフとして4年間東ティモールで活動しました。カンボジアの食文化を学びながら、患者さんをはじめ多くの方々へ栄養の大切さを届けられるよう、頑張ります!
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医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部