この11月、カンボジアの「ジャパンハートこども医療センター」から2人の日本人看護師が旅立ちました。
ジャパンハートの【国際看護師研修】に参加し、国内の病院での研修を経てカンボジアにやって来た蒔田さんと堀口さんの2人です。
医療環境も言語も文化も大きく異なるなかでコツコツと誠実に医療活動に取り組み、患者さんやカンボジア人スタッフからの信頼を集めていった2人。
先日、大勢の仲間や患者さんたちに見送られてカンボジアを後にしました。
帰国したばかりの2人のうち蒔田さんから、さっそく1年間を振り返っての活動リポートが届きましたのでご紹介いたします。
帰国の日
カンボジアでの1年間の研修が終わりました。
この1年間楽しかったことや嬉しかったことがたくさんあったけど、やっぱり悲しいことや辛いこともたくさん経験しました。
日本と比べるとできる治療が限られます。医療器材も薬も日本のように何でも揃ってはいません。限られた医療・環境の中でその患者さんにとっての最善の医療を考えて提供しなければいけません。
日本だったら助けられたかもしれない。とたらればを言い始めたら切りがありません。
しかしここでできる治療方法で、ここにあるものを最大限に使って、他の研修生や現地のスタッフと一緒に考え、患者さんを治療していく。病態生理から学び直し、論文を漁りまくり、目の前の患者さんにとって何がベストなのか議論する…。
Trial and error の繰り返しで難しさを感じることもありましたが、患者さんが徐々に軽快していく姿を見るととても嬉しくなりました。
日本で働いていた以上にとても患者さんと本気で向き合う時間が増えました。
自分に何ができるのか、何がベストなのか、今後の生活を考えてどのように介入すべきなのか…。
常に考えなければいけない環境であり、そしてその行動に責任を持ち実施する。
本気で医療・患者さんと向き合ったからこそ、自分があまりにも無知すぎて、何もできなくて無力に感じ、自分のことが今まで以上に大嫌いになったこともありました。
でも大嫌いになったからこそ、今、自分が大切にしていることを見つけることができた。
そして自分自身の看護観を見つめ直すきっかけにもなりました。
1年という期間は、長かったような短かったような。今振り返ると何とも言えません。
カンボジアに来なければ、日本では経験できない医療やその土地の食べ物や文化に触れることはできませんでした。
そして何よりここでしか出会うことができない人たちとの関わりは、私にとって大切な思い出の一つとなっています。
研修期間、たくさんの方のサポートがあったからこそ、患者さん・家族のために行動でき、そして自分自身を見つめ直すことができました。すべての方に感謝申し上げます。
蒔田理沙 国際看護師研修59期生
福島県出身。3年間の看護師経験を経て国際看護師研修に参加。国内での研修の後、2023年11月まで1年間カンボジアで活動。東日本大震災を経験し、災害看護にいつか携わりたいという気持ちがありました。ジャパンハートの理念に共感し、人のために活動をしてみたいと思い参加を決意しました。
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カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動