活動レポート

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【検査技師だより②】 深掘りインタビュー

up 2023.08.04

カンボジアの「ジャパンハートこども医療センター」で勤務する米倉惟さん。
病院でただ1人の臨床検査技師として、医師の診断や今後の治療方針を左右する重要な検査を担っています。

前回はそんな惟さんの業務の様子に密着させてもらいましたが、今回は惟さんがなぜ臨床検査技師を目指したのか、なぜカンボジアで働くことになったのか、これまでの経歴や想いをインタビュー形式でお伝えします。

【検査技師だより①】 臨床検査技師に密着! はこちらから

社会人になってから臨床検査技師を目指したと伺いました。どういう経緯だったのでしょうか。

大学時代は魚の研究をしており、卒業後にJICAの青年海外協力隊に参加しました。
派遣先はラオスで、そこでの経験が臨床検査技師を目指すきっかけになりました。
ラオスでは養殖の普及活動を行っていたのですが、周囲は医療従事者のボランティアが多く、活動に対する意識や熱意が非常に高かったです。
当時、大学を卒業したばかりだった私には衝撃的でした。

ラオスでの活動については、年齢的にも経験的にも未熟で満足いくような結果を残せなかったという気持ちが強く、次は医療従事者となって再び国際協力の世界に飛び込みたいという目標ができました。
そこで、数ある医療職種の中で最も興味のあった臨床検査技師の道に進むことにしました。

検査の様子

ジャパンハートの活動に参加することになったのはどうしてですか。

臨床検査技師を目指した時期に偶然にも最高顧問の吉岡代表に関する記事を目にして、「いつかこういう団体で働きたい」と記事のスクラップを保存しておりました。10数年経った今も手元にあります。

専門学校を卒業し晴れて臨床検査技師となりましたが、国際医療協力の分野では「臨床検査技師」の募集枠が非常に少ないという現実を知りました。
検査を行う機器や試薬の価格が高いため、開発途上国では十分な検査を行っていないことも多く、「臨床検査技師」が必要とされる優先順位は医師・看護師よりも低いからです。

資格取得後、10年ほど国内の病院や検査センター・PCRセンターでさまざまな検査を経験することができましたが、正直、日々の業務に追われる毎日でした。

そんな時、ジャパンハートがカンボジアで臨床検査技師のボランティアを募集していることを知りました。
記事を目にした10数年前には医師・看護師のみしか募集がなかったので、今思い返すと縁があったのかなと思います。]「これは行くしかない」と一念発起して応募し、現在に至ります。

「ジャパンハートこども医療センター」では、臨床検査技師のみならず、放射線技師、薬剤師など他の団体では受け入れがないコメディカルも活動ができるため、海外で活動したい医療従事者にとって非常にありがたい環境です。

スタッフ向けレクチャー

カンボジアでの勤務はいかがですか。

長期での臨床検査技師のボランティアは初めての受け入れということでしたが、日本人ボランティアも多く、活動や生活に関して不安な部分はすぐに解消されました。

ジャパンハートこども医療センターでは、それまで臨床検査技師が院内に常駐していなかったこともあり、検査の精度や運用方法など、着任してすぐにさまざまな問題があがってきました。
ありがたいことに、日本人・カンボジア人、医師・看護師と人種・職種問わず現場からさまざまな相談や提案をいただきます。

日本と同レベルの検査をするのは難しいこともありますが、さまざまな現場を経験しているからこそ、限られたリソースの中で最適な運用方法を提案・実行するよう心がけています。

最終的にはカンボジア人スタッフのみで業務遂行ができるよう、検査についてのレクチャーを行い、整備を整えています。病院内での検査業務は非常に地味な部門ですが、活動を通じてスタッフが検査について考え、向き合うきっかけになれば嬉しいです。

地域の市場

生活面はいかがですか。

ジャパンハートこども医療センターのあるカンダール州ポンネル地区は首都プノンペンから1時間ほど離れたのどかな町です。

日本人スタッフは寮で共同生活をしています。臨床検査技師である私は土日にお休みをいただいており、休みを利用して洗濯や掃除など身の回りのことを済ませます。
また、リフレッシュのためにランニングや料理をしています。

現地でのランニングは未舗装の道が多く車が走り抜けると砂埃が舞い、野犬が走って追いかけてくることも多いですが、カンボジアならではのお寺や近隣のカンボジア人からのお声がけはここでしか体験できない貴重な経験です。

寮のキッチンで料理

また、こちらでは月~土曜日までは毎日3食、給食が提供されています。
ほとんどがカンボジア料理のため、給食のない日曜日は寮のキッチンで日本の料理をよく作っています。
日曜日はお休みのスタッフが多いため、有志で料理を作って振る舞い、日ごろの労をねぎらったりします。

私を含め、こちらの活動に至るまでさまざまな経験をされている方も多く、食事を囲みながら情報交換や交流を深めています。
活動を通じて同じ想いを持つ人達との絆は、なにものにも代えがたい財産です。
健康体で活動ができること、たくさんの良い人たちに囲まれていることに感謝し、今後も活動に精進していきます。

臨床検査技師 カンボジア米倉米倉 惟 カンボジア長期ボランティア / 臨床検査技師

2023年2月からカンボジアで検査技師として活動している米倉です。大学卒業後は青年海外協力隊に参加し、ラオスで魚の養殖技術の普及に努めました。その後、「医療従事者として海外で活動したい」という想いから臨床検査技師になり、ジャパンハートに参加しています。


▼プロジェクトの詳細はこちらから
カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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