こんにちは!栄養管理部の溝口です。
今回はジャパンハートが連携しているクラチェ州立病院で栄養研修を行いました。
クラチェ州立病院はカンボジア北東部に位置し、首都のプノンペンから車で5時間程離れた地方病院です。
昨年から糖尿病患者に向けて栄養教育を実施するため、ジャパンハーこども医療センターの栄養管理部が研修を提供しています。
栄養士がいないクラチェ州立病院では、医師と看護師が中心となって栄養教育を行います。
昨年は糖尿病の栄養に関する知識を高めることを目的に実施しました。
2回目となる今回の研修では実際に患者さんに栄養教育を実施するための力を高めることを目指しました。
研修内容はジャパンハート子ども医療センターのカンボジア人栄養士が中心となって考えます。研修前にはオンラインミーティングを通じて現地スタッフの要望や課題について情報収集を行いました。
そこで明らかになった課題が、「栄養教育を行うだけの知識と自信がない」「患者さんが理解し、行動を変えてもらうための工夫があまりされていない」ということでした。
こうした課題を踏まえて、クラチェ州立病院の医師や看護師が患者さんに栄養教育を実施できるよう、次の3つの以下のセッションを企画しました。
① 栄養や糖尿病の食生活に関する講義
② 栄養教育のデモンストレーション
③ 栄養教育の実施に向けた相談会
栄養や糖尿病の食生活に関する講義
もともとは外科のみを対象に実施する予定でしたが、隣の病棟の産婦人科にも声をかけ13名の医師・看護師・助産師が参加してくれました。
前回の研修のおさらいにと栄養の基礎知識や糖尿病を防ぐ食生活のポイントなどについて触れました。
特に体格や栄養状態の評価に用いられるBMIが好評で、チャートを見ながら自分が標準体型に当てはまっているかどうか確認していました。
栄養教育のデモンストレーション
研修では、得た知識をどのように患者さんに伝え、行動変容を促していくかが重要です。
そこで今回は、ジャパンハートの栄養士が実際に患者さんを前に栄養教育のデモンストレーションを行いました。
カンボジアでも日本と同様「講義」となると講師がひたすら話すといった一方向になってしまいがちです。
これだと患者さんは受け身になってしまい記憶に残りにくくなるばかりでなく、課題を自分事として捉えにくくなってしまいます。
また、一般の人相手になるので言葉も簡単にしなければなりません。
そこで、クイズなどを活用して興味をひけるような内容にしたり、言葉をかみ砕いて説明する工夫をしていることをみてもらいました。
栄養教育の実施に向けた相談会
栄養とその教育方法に対する知識習得ができた後は実践です。実践にあたり、病院スタッフ達の疑問や不安を解決する相談会を実施しました。
教材が欲しいというリクエストに対しては教材をプレゼントし、使い方を学んでもらいました。
講義に関連した質問もあり、意識の高さを感じられました。
研修に来ていた看護学生も熱心に質問し、資料の写真をここぞとばかりに撮っていました。
その他にも、病院敷地内の売店に対しても衛生や栄養のアドバイスを実施し、病院スタッフにフォローをお願いしました。
栄養がまだまだ身近でないながらも大切さを認知している人が増えていることを実感します。栄養教育を点から線、面へと広げることで一人でも多くの患者さんや地域の人々の健康を支えていきたいと思います。
溝口 喜子 栄養管理部部長 / 栄養士
2022年6月からカンボジアで栄養士として勤務している溝口です。
大学卒業後は民間企業に就職しましたが、そこから管理栄養士養成校(大学)に入りました。給食提供・栄養教育を通じて多くの方の心と体の健康を支えられるようがんばります!
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医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部