活動レポート

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Natural

up 2022.10.19

こんにちは。カンボジアに来て約1年、日本は冬に向かっていると知り、常夏のカンボジアで日焼けした腕を見ながら、少し恋しく思って過ごしているプロジェクトメンバーの藤本です。
私は、9月中旬にポンネルー地区にあるTumnup Thom(トムナッ トム)ヘルスセンターを訪問させていただきました。
その際に感じた事や気付きを私の視点から書かせていただきます。

まず、このヘルスセンターは、ジャパンハートこども医療センター(以下、JHCMC)から車で約30分のところに立地し、来院者数は月約700名です。
カンボジアの他の地域と同様に、大家族で生活をしていて子どもが多く、分娩件数は1日平均2〜3件、多い時には15件にも上ります。

今回訪れたヘルスセンターの外観

そんなヘルスセンターでJHCMCの助産師が現地のスタッフと一緒に周産期活動を開始したところ、高血圧や糖尿病のある妊婦が多い事に気が付きました。
JHCMCでは、日頃から乳幼児健診で栄養士からのアドバイスの場を設けるなど、周産期と栄養管理部で連携しており、このヘルスセンターの健康課題を知った栄養管理部も、栄養の方面から地域住民全体の健康に携われないかと考えました。
そして、より多くの村人に日頃から食生活を意識してもらうためには、影響力のある村長の協力が必要と考え、今回の訪問に至りました。

前置きが長くなりましたが、、、このような流れで助産師と栄養士と私でヘルスセンター、そして村長の元を訪ねました。
村長と村長アシスタント3名に迎えられ、着席すると気分はまるで新聞でよく見る首脳会談です。
通訳を介して、前述のように高血圧や糖尿病の妊婦や住民が多い事を共有し、健康教育や栄養教室に関して提案をしました。
すると村長からは、自身も予防に興味を抱いていてぜひ知りたいとの返答があり、JHCMCがそのような活動を行う際にはヘルスセンター長を通して村長から村人へアナウンスをしてくださると、快く言ってくださったのです。
こうして、周産期と栄養管理部で、妊婦や地域住民の健康増進・疾病予防のためにヘルスセンターと一緒に活動を行う体制を確認する事ができました。

村長訪問の様子

ジャパンハートが配布した食品グループのピラミッドの資料を利用した、妊婦健診での食事指導

今回私が訪問させていただいて強く感じたのは、自分が立っている場所は、ヘルスセンターとJHCMCの過去から未来へ繋がる長ーい線の中の、ほんの「点」だという事。
始まりの点を作る事、個人レベルで信頼関係を築く事、それを次の代につなげていく事。どこが欠けても今はないし、未来もありません。
私は大学の卒業論文で、アジアの国における母子健康手帳の導入や普及について研究しましたが、それを促進するための要因には組織の長の理解や法令などの制定などがありました。
今回の訪問で村長の協力を得られた事は、今後の活動に確実に大きな影響をもたらします。
そしてこんなにスムーズに理解を得るのは決して容易な事ではなく、あらゆる方面での調整と汗と努力があっての事だと感じました。
私は今まで自分の居る地点しか見えていなかった事に気付かされたと共に、ここまで関わって作り上げてきた先人たちに尊敬の念と感謝の気持ちを抱きました。

緊張と感動のお産の瞬間

「だってここが好きだから。Here, Natural!」
きっと給料も高く娯楽も多い首都プノンペンではなくて、この地域を選んだ理由をヘルスセンターの助産師に聞いた時に、元気よく返ってきた返事です。
ここにしかない時間の流れ、生活のスタイル、人の生き方。数日の滞在でしたが、それらを愛して寄り添うヘルスセンターのスタッフたちと出会えた事は財産です。
彼女たちの大切にしているものを一緒に尊びながら良き伴走者、チームとして、その土地で暮らす全ての生命がより健康でありますように。
そしてそのための知識や習慣が現地になじむ方法で浸透しますように。カンボジアの未来に向けて心からそう願った、ヘルスセンター訪問でした。

産まれた赤ちゃん

プロジェクトメンバー 藤本

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援| カンボジア 巡回診療・手術活動

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