活動レポート

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カンボジア人助産師の話

up 2022.08.23

雨季に入り、雨が降ると肌寒さを感じることもあるカンボジアです。
ジャパンハートの病院に4月から産婦人科医の先生が滞在してくれています。
先生がいてくれることで、今より分娩を扱うことが増えて3カ月で20件ほどの経膣分娩を扱いました。ほとんどの分娩はカンボジア人助産師が介助をして、日本人がサポートするという形を取っています。
なぜならカンボジア人助産師に「分娩を見る」ということはどういうことかを知ってほしいからです。

一般的なカンボジア人の助産師さんは分娩第二期、子宮の出口が10センチまで開いてからを”分娩”と呼びます。
ジャパンハートでは、陣痛が始まったら生まれるまで細いアセスメントをし、分娩全体を通してケアをするようにしています。
初めの頃は陣痛が始まっている産婦さんを前に「Not yet start delivery?」と聞かれ悲しい気持ちになることもありました。
ですが、最近、カンボジア人助産師と一緒に分娩をしていて嬉しくなることがいくつかありました。

一つは彼女たちが陣痛が開始してからの評価をしっかりとしようとすることです。
自分の手を使い、しっかりと時計を見て、どのくらいの陣痛かを自ら確認します。
さらに心音の位置が変化していることや痛みがどこにあるかもキャッチするようになりました。

二つ目に必要なタイミングでの分娩監視装置の装着を意識できるようになりました。
一般的にNSTを必ず装着するタイミングがありますが、それをわかるようになってきました。

カンボジア助産師が分娩監視装置を用いながら赤ちゃんの状態を確認している

三つ目、これは本当に驚いたのですが、内診(自分の指を膣に入れて子宮の出口が何センチ開いているかを確認すること)なしで分娩の進行を見ようと努力する姿勢です。
カンボジアでは内診こそがアセスメントの中心になっています。ここで働く助産師は、心音の位置が下がったよとか、足とか手に力が入ってきたよとか、ちょっと肛門を押してなんか押される感じがあるかとか、肛門が開いてきたとか、沢山のことを見ようとしている姿が見られます。

四つ目、「いきむ」タイミングを判断していることです。全開大したらいきむというカンボジアのスタイルは時に外陰部の浮腫をもたらします。
不適切な位置からのいきみは赤ちゃんにストレスがかかることもあります。子宮収縮と赤ちゃんの位置でいきんでもらうタイミングを考えることが大事です。
逆に子宮収縮が強すぎる時はいきみが強すぎて会陰裂傷を作ることもあります。その時には子宮収縮がある時にいきまないという選択肢もあります。
彼女たちはそれを考えて声かけをしています。

もちろん、これらを統合してアセスメントできるようになるには経験が必要です。
しかし、彼女たちが、彼女たちなりにお産のアセスメントをしっかりしようとする姿勢が私はとても嬉しく感じています。
時にはそれがぴったり当たって嬉しそうな表情を見れるものここで活動していて嬉しいひとときです。

最近はちょっとバタバタと進む分娩、なかなか進まず苦戦する分娩、最終的に帝王切開にせざるを得なかった分娩、色々な分娩をここで行っています。
それぞれを彼女たちの成長に繋げるべく、そして彼女たちが自分たちなりにアセスメントをできるように支えられる存在でありたいなと思う今日この頃です。
そして、沢山のお母さんとお父さん、家族の笑顔を見れる病院を作りたいと思います。

カンボジア 助産師 西川

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援| カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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