長期インターンの峯村です。
2022年6月に3日間にわたって実施したコンポンチャム州チャムカルー病院にて行われた手術活動に同行しました。5月に行った外来診療に引き続き、今回が初となるチャムカルー病院での手術活動でした。
チャムカルー病院は日本の公的財源で作られた手術設備を有しています。
しかし、手術ができる技能を持った医師がいないため手術を定期的に行うことができません。
チャムカルー病院スタッフの手術活動に対するモチベーションと技能の向上を目指し、チャムカルー病院のスタッフとともに、21件の手術を実施しました。
2回目の訪問でしたが、今回はハプニング続きの3日間でした。
まず、直前にリーダーナースのマイが怪我で不参加となってしまいました。巡回診療のことは誰よりもわかっている彼が突然不在となり、メンバーは対応に追われました。
どたばたと準備を進めるなかで、事前ミーティングにリモート参加予定だったマイのことを忘れてミーティングを進めてしまう始末。置いてきぼりにされて悲しそうな画面の向こうのマイに対して、何事もなかったかのように「元気~?」と手を振るスタッフたちがおかしかったです。
そして当日、病院に到着すると、またもや朝早くから患者さんたちが待っていました。
非医療者である私は、看護師スタッフの指示にしたがい手術予定の患者さんのバイタルチェックや写真撮影の準備を行いました。
事前に手術の予定は組んでありましたが、患者さんが来なかったり、手術の必要がなくなったりと、日々手術予定が変わっていきました。
更新されていく情報についていくのは大変でしたが、手術活動時は外来診療ほどの慌ただしさはなく、スタッフたちは患者さん一人ひとりとのんびり世間話しをしながら手術の準備が進んでいきました。
巡回診療では脂肪腫の摘出など、15分~30分程度で終了する外科系の手術を主として実施しています。
日帰りでできるものから、手術後数日入院の必要があるものまで様々ですが、今回は1件、プノンペンの病院へ緊急搬送したケースがありました。
当時、それまでののんびりした雰囲気から一変、現場は緊張感に包まれていましたが、当院の看護師が救急車に付き添い、無事に搬送できました。
手術中は特に手伝いが発生しないので私はカルテ管理の事務仕事や洗濯、掃除などをしていました。
屋外に設営したテントの下で事務作業をしていた時のことでした。突然のスコールに見舞われ、あれよあれよという間に周辺が水没してしまい、椅子の上からしばらく動けなくなりました。
パソコンとカルテを濡らさないために、作業は一時ストップ。徐々に地面に足を付けることもできなくなり、椅子の上で丸まるか足上げ腹筋をするかしかやることがなくなりました。
雨が止むのをしばらく待つと、さっきの孤立状態はなんだったのかと思うくらい一面の海があっという間に消失するところがまたカンボジアらしいです。
この3日間のうち、外に干してある洗濯物を雨から救出すべく、何度走ったかわかりません。
そして、この3日間で特に心温まった忘れられない瞬間がありました。
かつてジャパンハートこども医療センターに入院していた小児がん患者さんのお母さんがフルーツをたくさん持って会いに来てくれたのです。
チャムカルー病院での活動の様子を速報としてカンボジア国内向けのFacebookで投稿していましたが、お母さんはこの投稿を見て我々がチャムカルー病院で活動していることを知ったそうです。
当時、残念ながらお子さんは亡くなったとのことでした。
それでもジャパンハートのことを大切に思い、こうして会いに来てくれた、その絆に感動しました。
3日間の手術活動を終え、私はこれで帰宅となりますが、この後は看護師が約1カ月半の間チャムカルー病院に残り、術後の患者のケアを担当します。
最後になんでもこなすドライバー・ソクラットが今回の働きぶりもすごかったので一部ご紹介して巡回診療レポート・チャムカルー病院編を終わりにします。
▼外来診察の様子は、「チャムカルー病院外来診療編」でご紹介しています。
巡回診療の現場から チャムカルー病院外来診療編
長期学生インターン 峯村
▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援| カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動