「出産のことを”川を渡る”という」らしいとカンボジアに来てすぐに誰かに教えてもらったことをふと思い出します。
出産とは川を渡るくらい危ないものなのだということの例えだそうです。
ここカンボジアのジャパンハートこども医療センターでは隣接するポンネルー病院の分娩で赤ちゃんに何かあると助けに行くという連携を行っています。
日本の多くの病院では、危ない分娩であれば新生児科の先生が立ち会ってくれることが多いかと思います。
そうでなくとも助産師さんが新生児蘇生をしてくれるでしょう。
しかし、カンボジアの地域にある分娩できる施設は助産師さんのみです。赤ちゃんを助けられるかどうかはその助産師さんたちにかかっています。
生まれたての赤ちゃんの蘇生は出生後1分が重要です。
この地域で生まれる赤ちゃんに何かあった時、そこにいる助産師さんが動けるように地域の助産師さんに向けての講習を2年前から開始しています。
今回は合計17名の助産師さんが参加してくれました。
前回の時と同様、皆さんとてもやる気に満ちていてパワフルでした。
今回の講習では現状に関する簡単なアンケートを実施しました。
その中で明確になったのは、新生児蘇生に欠かせないバックバルブマスクをほとんどのヘルスセンターが持っていないという事実です。
持っていないと聞いてはいましたが、まさか、ほとんどとは思っておらず、びっくりです。
実は今回の講習で前回と大きな違いは”マスクバックがない場所で行うマウストゥーマウス”を盛り込んだことです。
念のために入れたものがこれほど重要になるとは、嬉しいやら何やら、、、。
今回も、実技練習はみなさんとても一生懸命で、本当にやりがいがありました。
私も実技練習に参加しましたが、みなさんすごく真面目で、色々と聞いてくれました。
アンケートでも書かれていましたが、多くの助産師さんが新生児蘇生が必要な場面を経験しているそうです。
この練習が本番にしっかり活かしてもらえることを期待しています。
周産期は基本的には何もない場所ですが、何か起こると命の危機に晒されることが多い場所です。
まれにしかないその時のために、これからも地域の助産師さんに向けて私たちができることをしていきたいと思います。
カンボジア 助産師 西川
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