こんにちは。カンボジア広報の堀川です。
カンボジア国内での新型コロナウイルス感染症の拡大は止まらず、2021年6月30日の感染者は1130名と、国内の感染者数が初めて1000名を上回りました。
このような状況ではありますが、6月は10名以上の小児がん患者さんが退院するなど、喜ばしい出来事もありました。
今回の活動レポートでは、1月から約半年の入院生活を経て6月に退院したヴァリー君の入院から退院までの様子をご紹介します。
入院時
生後9か月の幼いヴァリー君が患っていたのは、肝芽腫と呼ばれる肝臓にできるがんです。治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。
ヴァリー君は、生まれた直後から腹部にしこりのようなものがあり、痛みはないもののそれが徐々に大きくなっていました。
国内最大の小児病院を受診しMRIやCT検査を受けたところ、がんの疑いがある事が分かり、ジャパンハートこども医療センターを紹介されました。
入院当時、小さいからだですが既にお腹が腫瘍でパンパンに腫れている状態でした。
入院して間もなく生検*の手術を受け、抗がん剤治療を開始しました。
* 生検とは、患部の一部を切り取り、診断を定めるために行う検査の事です。
ヴァリー君の家はジャパンハートこども医療センターから遠く、当院までなんと車5時間もかけて来院しました。家から遠く離れた病院での入院生活は、お母さんが付き添ってくれました。
また、お母さんにとってヴァリー君は初めての子ども。お母さんにとっても、一人息子の幼いヴァリー君が小児がんだと分かり、不安でいっぱいだったと思います。
お母さんは、カメラを向けている時でさえ、ヴァリー君から片時も目を離しませんでした。
6か月間に及ぶ入院期間中
闘病中は辛い治療の連続です。泣いている自分の子どもを見る事はお母さんにとっても辛いもの。
治療中は、お母さんがスマートフォンで動画を見せたりと、周りも全力でサポートしました。
小さいからだで、日々治療と向き合いながら、本当に良く頑張りました。
それでもすくすく成長し、この日は栄養管理部のスタッフと共に入院中の子どもたちみんなで身体測定を実施。ヴァリー君はお母さんに抱っこされながらの測定です。
入院当初は9か月だったヴァリー君ですが、入院中に1歳のお誕生を迎えました!
病院のスタッフで、ささやかですがお祝いをしました。突然のお祝いにビックリして泣き出してしまった姿も。
病院でお誕生日を迎えた記念のバースデーカードを、大人になった後に見返してくれたら嬉しいです。
退院時
入院から6か月の入院期間を経て、無事に退院する事ができました。
ヴァリー君ががんを疑われ当院へ来た際には、既に腫瘍によってお腹が大きく膨れており、治療が成功する可能性が高いとは言えない状況でした。
しかし、ヴァリー君が無事に退院する事ができたのは、当院のスタッフのケアだけではなく、ずっと付き添って入院したお母さんの存在、そして周りの患者さんやそのご家族のサポート、そしてなんといっても本人の努力があったからこそです。
まだ1歳と幼いヴァリー君ですが、日々の大変な治療に向き合う姿勢はとても逞しく、スタッフやほかの患者さんから本当に愛される存在でした。
これからヴァリー君がどのような大人になっていくのか、スタッフ一同、成長がとても楽しみです。
写真を撮る時であってもいつもヴァリー君から目を離す事無く見守ってたお母さん。
退院時にようやく安堵できたのか、初めてカメラに向けて笑顔を見せてくれました。
私たちが治療をするのは一人の子どもであっても、その周りにはご家族やお友達など多くの人がいます。
一人の命を救う事は多くの人の人生を明るくさせるのだと改めて実感する事ができました。
普段は退院時に子どもたちを紹介する事が多く、断片的な部分しかお見せする事が難しいのですが、入院患者さんやご家族にとっては毎日毎日が闘病生活の連続であり、とても長い入院生活。
スタッフも日々寄り添ってケアにあたります。
これからも多くの子どもたちとそのご家族に笑顔を届けたい。今後とも応援して頂けたら幸いです。
ジャパンハートカンボジア広報担当 堀川
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