100食分の給食を提供する上で一番大切なこと、それは安心・安全であること。
栄養管理部では日々の衛生管理をはじめ、個別対応や献立の工夫により、 小児患者さん、病院スタッフ誰もが安心して食べられるように取り組んでいます。
(1)衛生管理
高温多湿のカンボジアでは日本以上に衛生管理が大変です。
虫も多いですが、日本のように害虫駆除業者などはなく、自分たちで日々管理していくことが欠かせません。
365日、朝・昼・夜と稼働し続ける給食センターですが、毎日や週毎の清掃作業を決め、さらに定期的に全員出勤して大掃除も行い、清潔な厨房を維持しています。
(2)個別対応
約100食分の給食を作る中で、アレルギーや宗教などの理由により、特定の食材が食べられなくても安心して食べられるよう、できる限り個別にも対応しています。
①アレルギー対応
豆、卵などが食べられない場合には別調理をして提供しています。
カンボジアでは日本と違いアレルギーに対する認識が低く、最初は栄養管理部スタッフでさえも理解が難しかったです。
そのため、「そもそもアレルギーとは何か」と言った説明やそれに伴い必要なアレルギー対応について、 イラストでわかりやすく説明を行いました。
また、個別対応が複雑にならないかなど、献立を工夫することでミスを防ぐよう努めています。
②宗教対応
カンボジアではほとんどが仏教徒ですが、ムスリムの患者さん、病院スタッフもいます。ムスリムの方に対しては、豚肉を使わないメニューを別調理しています。
またアルコール消毒が使用できないため調理器具を分け、一目で分かるように食器の色も変えることで、間違った食事提供をしないよう対策しています。
③小児患者さんの体調に合わせた食事を提供
小児患者さんにはお粥も提供しています。「朝はお粥、昼・夜は普通のごはん」など細かな要望にもひとりひとり対応しています。
月齢が低くてもお粥よりも普通のごはんを好んで食べる子が多いです。
これらの情報を看護師が患者さんから丁寧に聞き取り、ホワイトボードを使い栄養管理部と積極的に情報共有しています。
調理後には別調理したものが誰の食事か間違えないよう、声を掛け合いながら準備します。
(3)緻密に考えられた献立
献立はカンボジア人調理リーダーが作成しています。 栄養価や予算だけではなく、安全に調理をするために、様々な視点から考えて献立を組みます。
その日の調理スタッフメンバーのレベルで余裕を持って調理できるか、個別対応が複雑にならないか、食材の保管場所が確保できるか など、いつも頭を悩ませながら考えています。
(4)コロナ対策
来院したばかりの患者さん新規や一時帰宅後の患者さんは、感染予防のために、一時的に通常の患者さんとは別の部屋で過ごします。
そのため、給食も一人分ずつ使い捨て容器に盛りつけた状態で提供しています。その際も、体格の大きい子には大盛を準備するなど、細かい気配りをしています。
また、小児患者さんへの配膳方法も工夫しています。以前は一斉に給食を配っていましたが、栄養管理部スタッフが順番に声をかけ、時間差で配っています。
患者さんのお母さんたちからも「良いやり方」とご好評をいただき、積極的に協力してくれています。
栄養管理部だけではなく、病院スタッフの小さな取り組み一つひとつが安心・安全な給食の提供につながっています。
これからも子どもたちの笑顔のために、栄養管理部スタッフと共にできることを考え、取り組んでいきたいと思います。
栄養管理部 管理栄養士長期ボランティア 上田
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医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部