こんにちは。雨期に入り、夕方のスコールが日常になった7月のカンボジア。
乾季のほうが過ごしやすい、とも聞きますが、 雨が降った後の緑の匂いや、その夜の涼しさを知ると雨期も素敵だなと感じます。
四季を持つ日本では、季節に応じて旬の食材が変化するように、雨期と乾季の2シーズンを持つ熱帯地域も、季節の影響を受けて人々がアクセスできる食材には変化が見られます。
Seasonal Hunger、季節性飢餓と呼ばれるように雨期には栄養状態の悪化が見られる地域もありますが
緑豊かなカンボジアでは相変わらず多様な食材を市場で見かけることができます。
ただ、この時期に特に気をつけたいのが食中毒。カンボジアの一般家庭や地元のレストランでは衛生設備が整っていない場所も多く、特に雨期には下痢や胃腸炎といった食が引き起こす疾病対策に力を入れていく必要があります。
私たちの給食センターは、免疫力の落ちている小児がんの子どもたちに食事提供を行うことから、衛生面に関しては徹底的な管理を行っています。 また、日本から来たばかりのボランティアさんにも食事を提供することがあり、 活動に支障が出ないよう、安全な食事を提供することにスタッフ一同努めています。
調理についてはある程度の経験や興味を持っているスタッフたちも 衛生管理、在庫管理といったマネジメント面については、普段の概念からすると少し異なる部分も多く なぜ細かく行う必要があるのか?について正しく理解、納得してもらう必要があります。
当初は、買った食材を全て冷蔵庫に入れ、あるものの中からその日のメニューを決めて余った料理は冷蔵庫に眠っている、という様子もちらほら見られました。
もしかしたら、家庭ではその方法で行ってきてこれまで何も問題が生じなかったのかもしれません。
ただ、きちんと献立を立てて食材を注文することで無駄が防げること、買った食材は点検してから整理して入れることで混入を防ぎ、冷蔵庫の空気循環を良くできること、一つ一つ小さな活動ですが、病院の一員として私たちが安全な食事を提供できることで支えられる人がいることに責任と誇りをもって取り組んでもらえるよう、一緒に作業しながら細かい部分まで考える機会を提供しています。
また、カンボジアの病院栄養の現場で使われている衛生チェックシートを参考に、定期的に衛生状態を管理することや、機材の殺菌消毒を徹底していくための当番制の取り組みも始めています。
これまでは目の届きづらい箇所の汚れが溜まっていたり、 汚れた状態のまま休憩に向かう様子も見られていました。しかし、今は空き時間を見つけて掃除したり、自分たちで汚れているところをチェックして積極的に掃除する姿勢を目にするようになり、心なしか給食室内にも爽やかな空気が流れているように感じます。
カンボジアの衛生状態は改善してきているものの、 安全に管理された水へのアクセスがある人の割合は全体の1/4、基本的な衛生施設を利用できている人たちは6割程度と、全ての人が安全な衛生状態で生活できているとは言いづらい状況です。 そんな環境での生活や調理は、下痢や胃腸炎、そして栄養状態の悪化にも繋がってしまいます。
日曜日に行う掃除チェックリスト。集中的に掃除を行い、翌週に汚れを残さないようにしています。
今後は、少しずつここで得た学びや取り組みを外に発信する機会も増やしていきたいと考えています。
病院で働くスタッフとして、ただ食事を作るだけではなく 、人々の健康に栄養管理部としてどうアプローチしていけるのかを、皆で考え、行動に移していくことで、栄養や衛生という観点から、この地域の疾病予防と健康推進に貢献できればと思います。
栄養管理部 川合
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医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部