「日本もカンボジアも一生懸命やることはやる。」
先日胆道閉鎖症の手術を行った3カ月の女の子がいます。
この子は生後1カ月のときに他の病院で胆道閉鎖症と診断されましたが、手術しても助からないからと言われ帰宅しました。
そのあとラジオ広告でジャパンハートこども医療センターのことを知りわたしたちの病院に来てくれました。
もう一人、縦郭腫瘍が再発した16歳の女の子がいます。
腫瘍の癒着が考えられ難しい手術になることが予測されていました。
今回この子たちの手術をしてくださったのは慶應大学病院の小児外科医と以前ミャンマーにボランティアで来てくださっていた麻酔科医の方々です。
先生方がカンボジアに来られるのは今回で2回目になります。
慶應義塾大学病院の黒田教授は元々ジャパンハート最高顧問の吉岡先生のことをご存知で、何か海外でできることがあれば支援したいと興味を持っていただいていたそうです。
数年前にご縁があり、ジャパンハートと大学病院が連携して難しい手術もここカンボジアで行えるようになりました。
日本でも難しい手術をカンボジアで行うには先生方の日程調整や患者さんの情報共有、
物品や薬品の確認などを幾度にもわたって行う必要があります。
その裏には日本の病院で変わりに術後管理を行ってくださる方や、物品などの支援をしてくださる方、日程を決めさせていただいているのでそれに合わせて予定を組んでくださる方々、実際にはお会いできませんでしたが日本に残ってサポートしてくださっている多くの方の協力があって今回の手術は実現できたのだと感じました。
実際に現地にこられて感じたことはここで働いているスタッフのモチベーションの高さだったようです。
カンボジアには日本以外にも各国からボランティアの支援があります。
しかしその多くは自分たちで治療して患者さんの治癒を目指す自己完結型の支援です。
ここは日本の医療や知識・技術を一緒に働いているカンボジア人スタッフにも共有していき日本人・カンボジア人共に患者さんへ医療を提供しています。
これからカンボジアの医療を担っていく人たちの教育にも介入しているところも印象的な面だと言っていただきました。
日本の医師とカンボジアの医師の役割は違い、医師が少ないこの国では医師にしかできないことがたくさん求められています。そんな助けを求めている人たちの力となれるようにこれからも、もっと成長していって欲しいという願いと期待を込めて、カンボジア人医師と一緒に手術をおこない知識・技術の継承をしていただきました。
手術前の患者さんの情報共有では電子メールを主に使用していますが、実際に診たときに感じる皮膚の状態や患者さん自身のぐったり感など、文面ではなかなか共有しづらい点もあります。また、カンボジアでできる検査も限られており日本よりも情報が豊富ではないことからカンボジアにきて実際に患児に会うまでは未知数であるようです。
ただ、患児やその家族はわたしたちの病院にきて手術を受けられることを待ち望み最後の助けを求めてここにやって来ています。
「患児や家族はこの手術にかけているのでしょう、日本でもカンボジアでも一生懸命やることはやる。これはどこにいても同じです。」
と場所や国籍は関係なく、今回も医療を求めている人に最適の医療を届けてくださいました。
国際看護師研修54期生 梅野 弘菜