活動レポート

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妊婦健診室の日常、幸せを感じるとき。

up 2018.12.17

スォースダイ(こんにちは)!
カンボジア駐在助産師の菊地南です。

妊婦健診室では今日も、色々なことが起こっています。

既にお腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまっていることを、お母さんに話さなければいけない。
血圧がものすごく高いけれど自覚症状がないためか自宅に帰ると言い張る妊婦さんを説得する。
胎児不整脈があっても、日本であれば専門の先生がいる病院へ紹介して胎児心エコーをしてもらうけれど、ここには紹介できる先もない。
日本では使用できない薬を使って中絶を試みた思われる、出血して腹痛を訴える若い女性の診察をする。
隣の現地の分娩室に呼ばれて行けば、聴診器もバッグバルブマスクもなく、言葉も通じない現地助産師の中で、冷たく泣かない真っ青になった赤ちゃんの蘇生をする。
日本であれば、産婦人科医がする胎児超音波検査や婦人科領域の診察、小児科医がする新生児蘇生。

国際医療ボランティア ジャパンハート カンボジア 助産師

「わたしは助産師だから○○はしない・できない」という言い訳は通用しない現場で、
「助産師」としてではなく、「わたし」がどこまでやる覚悟があるか、を常に問われていると感じます。

どんなに勉強しても、どんなに場数を踏んでも、
ほとんど毎日、今のわたしでは足りないと感じることばかり。
今自分ができる診察と、ありったけの知識で対応するしかない。

打ちのめされた気持ちになっても、
もう連日の診察でエコーのプローべを持つと肩が痛くて腕が持ち上がらないと感じても、
エコーのしずぎで手首にタコができても、
振り返れば部屋に入りきらないほどの妊婦さんが、わたしの後ろで列をなして診察を待っている。

分娩監視装置から聞こえる胎児心拍の音を耳で聞きながら、
手は動かし続けて次から次へと妊婦さんの診察をしていく。
目の回るような時間を過ごすとあっという間にお昼を過ぎていて、もう午後の診療開始時間。
すでに次の妊婦さんが妊婦健診室にやってくる。

国際医療ボランティア ジャパンハート カンボジア 助産師

こんな日は、手が空くともう放心状態。
それでも、やっぱり
自分がやりたいことを今がむしゃらにできていること、
自分を必要としてくれる場所があることに、感謝する。

「今日はいっぱい妊婦さん来たね、つかれたねー」って話しながら、
夕暮れの中をカンボジア人助産師と笑いながら一緒に歩く時、しあわせだなと感じる。

きっと将来、わたしがおばあちゃんになったら
ここで過ごした毎日は、人生の宝物になると思う。

国際医療ボランティア ジャパンハート カンボジア 助産師

カンボジア駐在助産師 Minami Kikuchi

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