みなさん、今住んでいる町に病院が1つしかなく、働き手の不足で閉院がささやかれている・・小さい頃からどんな病気でもその病院で治してもらった・・家族の交通事故もおじいちゃんの心臓発作も治してもらった・・その病院がなくなったら、車で1時間以上かかる病院に行かなくてはならなくなる・・・こんな状況を想像してみて下さい。
実は、これは日本の僻地・離島で現実に直面している問題なのです。
しかしながら、そこを守る医療者は職務に対するモチベーションが非常に高く、「地域の人達は自分達が守る」という責任感に溢れ、全体として疾患を問わず対応できる専門家としてのレベルが優良であるのも事実です。
ジャパンハートとして、この様な地域を支える病院が、深刻な人材不足により、自らの地域医療の機能が十分に発揮出来ない状況を何とか払拭したい、という思いから、マンパワーの確保を担う事はできないか・・と思案していました。
その一方で・・都市病院や大病院では離職率が高く、潜在看護師を量産している現状。
やりがいが燃え尽きてしまう看護師達。そしてスキルアップや成長を求めて我々の研修プログラムに参加を希望する数が年々増加している事も事実です。
実は大病院などで教育を受けた看護師がそこでは学べなかった事、地域の医療から「総合的に人をみる力」を学べるのではないか・・そしてそれがジャパンハートの理念である「医療のないところに医療を届ける」のコンセプトに合う人材育成に最適なのではないかと考えました。
そこで、単なるマンパワーの補てんとしてではなく、学びたいという意識の高い看護師を該当者とする事で、病院側にとってもジャパンハートにとっても「協働」を叶える取り組みとして、2008年より、ジャパンハート長期看護研修地として、看護師の配置を開始しました。
この事業は、僻地離島への医療者確保だけが目的ではない事がお分かりでしょうか。日本の僻地には、しっかりと土地に根ざした地域医療を行っている病院や診療所が多く、そこで研修を行った看護師達は、濃厚な人的つながりに基礎を置く地域医療を経験でき、医療者人生という長いキャリアの中で大いに意義のある時間だったと語ってくれます。限られた環境の中で行わなければならない医療というのは、海外であれ国内であれ、医療者には総合的な能力が必要とされます。その能力を備えた医療者もやはり僻地・離島には多いのです。
まさに、「世界に通じる医療者を、離島僻地病院とジャパンハートが手を組んで育ていく」そんな事業です。